授業のあり方について先生方が真剣に且つ楽しく話し合え、授業改善に建設的に取り組める協働の「環境」があれば、先生方の授業力、学校の教育力は着実に高まっていくものと考えます。
ここで言う「環境」には、教育目標がきちんと共有され、それに基づく率直な意見交換ができる雰囲気にあることももちろんですが、既に校内に存在している優れた実践の所在を知るための「ツール」や、多忙の中でも知見の共有を図れる「研修手法」の存在も欠かせません。
自校の生徒が備える学習者特性にマッチした指導手法の所在を探すためのツールの一つが、生徒による授業評価アンケートです。
集計が終わって結果が戻ってきたときに、ここまで取り組んできた授業改善の効果検証に役立て、さらなる改善に向けた課題形成をする必要があるのは言うまでもありませんが、一人で集計結果を見てあれこれ考えていても、改善への発想はそうそう膨らみません。
教科内での優れた実践に触れて、改善のためのヒントや手札を得ることが必要であり、そのための起点となるのが、「高い評価を得た先生からの積極的な発信」とそれらに触れての気づきの交換です。
2016/03/04 公開の記事をアップデートしました。
組織としての改善が進む学校、進まない学校
授業改善に向けた協働の起点~優良実践の所在特定
高い評価を得た先生からの積極的な発信
相互参観などは「的を絞って」効率的に
発信のための言語化と資料の整理で得る効果
指導の前後に生じた差分(変化量)で効果を測定
担当授業の相対的な位置を把握できることが大前提
何が奏功した結果か分析し、理由を言語化してみる
メモを使って、実践を伝える場面での効率化
実践メモを読んで、興味をもったら授業を参観
授業を見るときは、生徒の動きもしっかり観察
できるだけ他の先生と一緒に授業を観る
参観した結果は、文字に起こして振り返り(言語化)
気づきをシェアして、理解を深める場を確保
新課程への移行で学力観が更新される中、実現すべき「学ばせ方」にも大きな変化が生じます。教室は、「答えを伝える場」から「答えを作る方法を学ぶ場」に転換を迫られています。
教え方・学ばせ方も大きく舵を取らざるを得ません。これまでの教え方は通用しなくなることも十分に想定されます。新たな指導手法を開発・確立していくフェイズを迎えました。
先生方がそれぞれに最善と思う方法を試し、効果が確かめられたものを先生方の間でシェアし、それを土台に、周囲と発想や気づきを交換しながら、さらにブラッシュアップを図る「協働体制」は、先生方がそれぞれ一人で黙々と頑張るよりも、大きく早い進歩をもたらすはずです。
生徒に学びを待たせないためにも、授業改善にむけた協働体制の確立は急務とお考えいただく必要があると思います。
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一