卒業生を招いて行う進路行事は、様々な世代からそれぞれの経験を踏まえたメッセージを在校生に伝えてもらう場。在校生が、先輩たちの経験から学び、これからの自分に向き合うきっかけとして整備が必要です。
まだ訪れたことがない地域を旅行する前に、その場所を経験した人の話を聴くのが大いに参考になるのと同じかもしれません。
その人と同じ行程を踏むのでは意味はありませんが、間接経験を通し、自分ならどうするかを考えることで、行程の中で楽しめるもの/手に入れられるものは増えていくのではないでしょうか。
こうした進路行事は、これから進路希望を作り、その実現に向かおうとしている生徒にとって有意な機会ですが、すべてを講演会スタイルにしては、行事でカレンダーが埋まり、あふれ出てしまいます。
直接対面の機会を作りにくいものや、他学年の生徒もほかの機会で参照すべき内容のものなどは、講演会とするよりも、進路通信などに寄稿してもらうのも良いと思います。
進路指導室などに、ファイルを整えておけば、生徒のみならず、先生方が指導を行うときの資料としても活用できます。
ある段階を経て伝えられるようになること
難関大を突破した直後に話せること
大学生活と照らした高校生活の振り返り
専門課程を選ぶときに考えたこと
高校での経験の価値を知ってから
教育実習生を集めてパネルディスカッション
対話型・参加型の方が、在校生の気づきは大きい
社会に出たばかりだから伝えられること
大学で学ぶことの意義を話せるのは30代以降
難関を突破したという事実だけでなく
先行逃げ切りタイプ、追い上げ逆転タイプ、…
記事を書いてもらう前にやるべきこと
校是たる指導像に合わせた起草者選定を
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講演を頼むときも、寄稿を依頼するときも、大前提となるのは、言うまでもなく、卒業生とのパイプが常に整備されていることです。
ある世代と最も強いパイプを持つのは、持ち上がりで担当していた学年団の先生方でしょうが、広い範囲の生徒と関係を維持するには、同窓会を介した組織的なつながりが必要だと思います。
同窓会を担当する広報・渉外などの分掌と進路指導部が連携してパイプの維持と整備を進めていく必要があるように思います。
校外に広がる理解者・協力者のネットワーク、斜めの関係を展開できたら、学校の教育活動にも幅が出るはずです。
学校のことをよく知り、帰属意識を持ってくれている卒業生は「チーム学校」の最適メンバーになり得る存在です。
地域の方の協力を仰げるならそれでOKですが、地域の特性からテーマに合致した講演者が見つからないこともありますし、大学の先生を呼んでくるだけは、「研究者」という属性が勝ちすぎることもあります。
同窓会を通じて作れる講演人材の多様性には、他に代えがたいものがあるように思いますが如何でしょうか。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一