妙なタイトルになってしまいましたが、頭の中を覗くといってもMRIやCTで頭蓋内の検査をすることでも、ましてや開頭して目視で脳を観察することでもありません。生徒に自分の頭の中で起きていることを、様々な方法で客観的に捉えさせようということです。
❏ どうしてそう考えたのかを尋ねてみる
問いに答えを導いたり、課題を解決したりする場合、きちんとロジックに沿って答えを導き出しているなら、別の機会に新たな問題にチャレンジしても正解に到達できる可能性は高いはずです。
一方、直感で解いてたまたま正解であったとしたら、似て非なる問題で正解できるとは限りません。
両者の違いは、「どうやって答えを導いたか」、「どのように考えて着目すべき情報を選んだのか」がきちんと言えるかどうかに現れるのではないでしょうか。
思考を外在化させる上で、周囲にいるものができるのは、如上の問いを外から投げかけることです。
生徒も、問われたことをきっかけに、頭の中でぼんやり捉えていたことを、言語化する中でより明確に認識できるはずです。
❏ 模試のやり直しで、間違え方のパターンを捉えさせる
模擬試験や実力テストのやり直しは大切ですが、生徒任せにしていると正解が何かを確認して終わったつもりになりがちです。
どうして間違えたのかを考えさせましょう。表層的には「問われていたことを、知識として所持していなかった」と片付けられそうに見えても少し掘り下げてみると違うところに原因が見つかることもあります。
自分がよく犯す「間違えのパターン」を知っておけば、次の機会にはそこを用心して取り掛かることができるはずです。
模試などのやり直しだけでなく、先生の質問に答えられなかったとき、面談で言いたいことが言えなかったとき、…上手くいかなかったときこそが、自分の思考様式を客観的に捉え直す好機だと思います。
❏ 視野の狭さ、ロジックの欠落は、ロールプレイで
様々な意見対立があってしかるべき論点について議論をさせた場合、若者らしい正義感からか、見方が偏ってしまうこともあります。
反証を予想していないロジックは簡単に切り崩されますし、説得力にも欠けます。
こうしたディスカッションを行わせる機会には、賛否の立場を入れ替えたロールプレイを行うことが、視野を押し広げるのに有効です。
ロールプレイは、立ち位置を変えて、大事だと思っていること/こだわりを一時的に離れることで、新たな見方を得るための手法です。
「〇〇について賛否を示し、その論拠を述べよ」という課題に自分の答えを作らせた後、如上のロールプレイを挟んでから、改めて答えを作り直してみるタスクを宿題に課しても面白いのではないでしょうか。
反対意見が生まれる根っこに想像を巡らせる機会は、多様性を学ばせる上でも大切です。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一