問い掛けには、様々な役割と機能があります。知識や理解を確かめるという基本機能に加えて、問題意識を刺激する、思考や行動を引き出す、着眼点を獲得させる、課題解決のプロセスを共時的に体験させるといった場面でも、問い掛けは大きくその役割を果たしてくれます。
学びの場に必要な生徒への働きかけの大半は、問い掛けで実現できるのかもしれません。題意を理解する、解法を考える、多様な立場や取り組み方があることに気づかせるといった場面でも、説明や提示よりも問い掛けの方が有効なことが少なくなさそうです。
2014/12/09 公開のシリーズをアップデートしました。
新課程への移行で、正解が何かを尋ねる従来型の問いに加えて、課題にどうアプローチするか、どうやれば求める解が得られるかに焦点を当てた問いも、よく見かけるようになりました。そこで求められる力を養うにも、モデルになるのは先生方からの効果的な問い掛けです。
先生方から問い掛けるばかりでなく、生徒にも、協働で課題の解決に当たるメンバーに、あるいは教科書や資料に書かれていることに対して、自らの問いを投げかけられる(=問いを立てられる)ようになってもらいたいものです。
繰り返しになりますが、先生が発する問いは、生徒が問い方を学ぶときのとても大切な見本です。学びの局面ごとに、そこで必要な問い掛けを生徒に見せてあげられるかどうかが、生徒の成長を左右します。
また、生徒が自らに向けて発する問い掛けもあります。「思索」や「内省」と呼ばれているものがそれに当たります。そうした場をきちんと作り、ちゃんとできるようにして学校を送り出してあげたいものです。
こうした、様々な問い掛けで満たされた教室は、生徒にとって極めて優れた学びの場であり、まさに「問い掛けの多い授業が良い授業」ということだと思います。
発問が担う、基本的な3つの機能
全体への問い掛けで、生徒にミットを構えさせる
問い掛けを通じて課題解決のプロセスを共時的に体験
同じクラスなのに、授業によってこんなに違う?
不用意な指名が、他の生徒の発言を控えさせる
問いはクラス全体に、発言はしっかり拾い上げる
他の生徒の発言や発表に対する意見や質問
先生の説明や教科書の記述にも疑問を向けさせる
生徒が発言を躊躇しない環境を維持することの大切さ
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一