授業観察を行うときに押さえるべきところ

管理職の先生方が「授業観察」を行うときや、教育実習生の授業を指導役の先生が観るときには、押さえておきたいポイントが多々あります。さらには観察で実際の教室に足を運ぶ前にも、観察者と授業者との間で行っておくべきことがあり、参観を終えた後も同様です。どこに観点を置いて授業を観るかに加えて、参観結果をどのように授業者にフィードバックするかは、授業を観察する先生方それぞれの経験則に頼りがちかと思います。授業…

実践報告に触れての気づきを言語化することの効果

より良い授業の実現を目指し、全国各地で様々な指導法研究や実践報告が行われています。ご参加の先生方からの意欲的な提案や報告にいつも大きな刺激をいただき、たいへん勉強になります。 各地の先生方が、それぞれの置かれた状況の中で「あるべき学びの姿」を考え続けて生み出してきたアイデアの数々は、それに触れた人が授業をデザインするときの手札を増やし、それを使ってさらに工夫を重ねた実践はまた別の機会で報告され、さ…

明日、ブログの更新をお休みします。

いつもブログをお読みいただき有難うございます。都合により、明日(7月15日)はブログの更新をお休みいたします。閲覧はいつも通りに可能です。先生方におかれましては、ご多用の日々をお過ごしのことと拝察いたします。くれぐれも御身大切にお過ごしくださいますよう。 教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

改善が遅れた授業のキャッチアップを支える

授業評価アンケートの集計結果や、模試や外部検定のデータを拝見していると、改善を重ねてより良い指導を実現している授業/先生/クラスがある一方で、キャッチアップが必要なのに改善が遅れてしまうケースも少なからず見られます。これをそのままにしては、改善が進まない先生ご自身もお困りでしょうし、そこで学んでいる生徒にも小さからぬ不利益が及びます。自校に通うすべての生徒に「より良い学び」を約束するために、改善が…

優れた実践にも手札は様々、組み合わせて更なる進化

生徒による授業評価アンケートを利用して、継続的な授業改善(=より良い授業の実現)に取り組んでおられる学校が各地にあります。多くのケースでは、集計結果を用いて、校内に既に存在している優れた実践の所在を探り、そこでの工夫やノウハウを共有することで、改善が遅れた授業でのキャッチアップを支える取り組みがなされています。 また、高い評価を得ることができた授業における工夫も様々。それらを効果的に組み合わせれば…

キャッチアップ(授業改善)を効果的に進めるために

~優良実践を「自分の授業の次の一手」に変える~ 優れた実践を知る機会があることは、授業改善にとって大きな助けになります。ただし、実践報告を聞いたり、授業を参観したりしただけで、自分の授業がすぐに改善に向かうとは限りません。場合によっては、次のように感じることもあります。「良い実践だと思うが、自分の授業とはスタイルからして違う」 「実際にやるには、特別なスキルや教師のキャラが必要なのでは?」 「担当…

改めて考えてみる「問いを立てる」ということ

このブログでも、以下のように「問いを立てる」という言葉をたびたび使ってきましたが、改めてその意味するところを考えたいと思います。 単純に「なんだろう」「どうなっているのだろう」と疑問や興味を持つ段階から、「疑問の正体を特定し、共有可能な表現でその本質を表現する」という過程を経てようやく「問いを立てる/起こす」に至ります。目の前の事物を注意深く観察したり、資料などを注意深く読んだりしないと、起点の「…

探究活動を成立させるための全体構造

探究活動については、これまで様々な視点・角度から記事を書き起こしてきました。テーマ選びの工夫、教科との連携、評価の設計、成果発表会の意味づけなど、切り口はそれぞれ異なります。今回は、それらの記事に通底する、探究指導の骨格となる基本的な考え方を改めてまとめてみたいと思います。個々の記事は、いわばこの骨格のどこかを掘り下げたものです。先に全体を通した「主旨」を踏まえていただくと、それぞれの記事が何を意…

探究活動、課題研究

全体の見取り図:探究活動を成立させるための全体構造 探究活動については、これまで様々な視点・角度から記事を書き起こしてきました。テーマ選びの工夫、教科との連携、評価の設計、成果発表会の意味づけなど、切り口はそれぞれです。各記事に通底する、探究指導の骨格となる基本的な考え方を、別稿にまとめてみました。 1 横断的・体験的な調べ学習の先にある探究活動 1.1 調べたことの先に~新たな知と当事者としての…

違和感は思考[探究]の入り口(まとめ)

本稿を起こしたひと月前、2025年7月の朝日新聞『折々のことば』に美術家・評論家である岡﨑乾二郎氏の「批評の始まりは、まず説明しがたい奇妙な細部を見つけることだ」との言葉が紹介されていました。 どんな絵にもうまく説明できない細部がある。そこで感じた違和を抑え込み、既存の枠組みで説明しようとすると、対象は歪(ゆが)んでしまう。逆にその違和をもはや違和としない理解の枠組みを組み立てるのが批評だと、造形…

学び方における守破離(続編)~型を学ばせた先~

本編では、初期段階にある学習者には「やってみせ、言って聞かせる」ことが必要ながら、取り組み方を学びつつある学習者に対して細かく指示を出し続ければ、伸びる芽を抑えかねない、という整理をしました。指導は「やってみせる」と「やり方から考えさせる」の二択ではなく、学習者のステージに応じて行き来しながら、徐々に手を放す方向に進めていくことが重要である、というのが結論でした。続編となる本稿では、初期学習の円滑…

探究のプロセスを経た「問いの深化」

探究活動の評価では、成果物(論文やポスター、口頭発表など)の完成度や新規性に焦点を置きがちですが、探究のプロセスを経てどんな能力や資質、スキルを獲得したかにもモノサシをきちんと当てましょう。 きちんとプロセスを踏んだ探究活動なら、最初に立てた問いは、調べたり、考えたり、フィードバックを受けたりする中で、新たな様相を得て深化/バージョンアップしていくはず。探究の過程が進む中で、問いがどれだけ深化した…

知りたいから始める探究テーマ選び

総合的な探究の時間での「テーマ選び」は生徒にとっても大きな関門ですが、ご指導に当たられる先生方も、その指導にはお悩みを抱えながら試行錯誤を続けておられる様子が伝わってきます。多くの生徒に、より意欲的に取り組んでもらいたいとの思いから、生徒それぞれに「興味のあること」からテーマを探させるアプローチが多いようですが、これは必ずしも上手く機能していないように見えます。上手くいかないケースの多くは、以下の…

ターゲット設問の具体例(追記)

別稿「授業改善を加速するための共通言語」(用語集)のトップに配置したのは、ターゲット設問です。これを授業デザインの中心に置くことで、主体的で深い学びの実現に近づける可能性は格段に高まります。本時の学習内容を俯瞰し得る問いを、授業の冒頭に示すことで、本時の学習で「何ができるようになればよいか」を生徒に見える形で提示すると同時に、学び終えたときに問いに立ち戻り、答えを仕上げることで、学びをより深く、確…

生徒募集を通じて入学前の生徒と交わした約束

より良い教育活動の実現を目指すと、学校行事のあり方や指導計画にも毎年手を加えていくことになりますが、生徒募集活動を通じて入学前の生徒や保護者と交わした約束からも軸足を外さないようにしたいもの。個々の指導の最適化を図ろうとするとき、上位にある学校の教育目的や各組織の指導目標との整合性には十分注意していると思いますが、それと同様に、学校案内、ホームページ、説明会などで、どんなメッセージを発信していたか…

学校案内での発信と日常実践の「距離」を埋める

受験生や保護者の手に渡る学校案内(パンフレット)は、学校の教育観や指導展望を外部に示す、いわば「学校からの公約」です。別稿でも書いた通り、生徒募集を通じて入学前の生徒と交わした約束は、入学後の教育活動の中で履行されなければなりません。学校案内で表明されている教育方針や指導設計は、日々の授業や学年運営の中でどれだけ実現されているでしょうか。実現のためには、学校案内に書かれている内容を深く理解し、個々…

出題内容から窺う、大学の教育姿勢

別稿「出題研究を通して”問い方”を学ぶ」では、新しい学力観に沿った問い方を学ぶのに好適な教材を、高大接続改革以降の大学入試問題から探しましょうとのご提案をいたしましたが、出題研究を通して「各大学の教育姿勢」を窺い知ることも同時にできるはずです。特徴的な出題の背後には、それを選択した理由があるはず。大学ホームページ等に記されたカリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーと関連…

荷物を増やしても、学びが膨らむとは限らない

この記事を起こした2017年5月頃、ある報道番組では「東京近郊の公立中学生の通学バッグの平均重量が8キロ超」と報じていました。副教材の充実や「脱ゆとり」路線での教材増加が主な原因とされていましたが、その後も状況はさほど変わらず、机間指導は生徒の大きな荷物を避けながら行うのが「常態」の教室も少なくありません。そんな光景を目にして思うのは、「荷物が増えた分だけ、学びが膨らんでいるのか」です。持ち運んで…

自分撮りのススメ~自分の授業を客観的にみる

別稿で申し上げた通り、授業を改善しようと思ったら、伝達スキルより授業デザインに焦点をおいて、その改善を先行させた方が改善の効果が短期間で現れますが、話し方・伝え方、強調の方法などに問題を抱えているなら、その解消も先送りするわけにはいきません。 授業デザインは、構成要素の大半が言語化できる外在知ですので、校内/教科内にある優れた実践から学びやすいもの。高い評価を得た授業でのやり方を知れば、まったく同…

授業動画をAIで振り返る~授業改善への課題形成

別稿「自分撮りのススメ~自分の授業を客観的にみる」では、ご自身の授業技術を捉え直すための「自撮り」をお奨めしましたが、技術の進歩で、改善への課題形成に生成AIを用いるのも容易になってきました。現時点では、動画をそのまま読み込ませるのではなく、「文字起こし」を経て、音声認識の誤りを修正した後に、テクストとしてAIに渡す形になりますが、相応の精度で「改善案のたたき台」を整えてくれます。学校現場で広く使…