考査の結果から自分の授業を振り返る
定期考査の答案には、先生方のこれまでの指導の成果が現れますので、答案の採点は、工夫を重ね、力を入れてきた「学ばせ方」が、どれだけ実を結び、どこに不足があったかを点検するまたとない機会です。定期考査の答案返却から終業式へと続く時期はいつも以上に慌ただしい日々と存じますが、採点を通して気づいたことは(簡単にでも)メモに残し、これからの指導をどう工夫するか、少し立ち止まって考えるときの材料にしたいもの。…

当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
定期考査の答案には、先生方のこれまでの指導の成果が現れますので、答案の採点は、工夫を重ね、力を入れてきた「学ばせ方」が、どれだけ実を結び、どこに不足があったかを点検するまたとない機会です。定期考査の答案返却から終業式へと続く時期はいつも以上に慌ただしい日々と存じますが、採点を通して気づいたことは(簡単にでも)メモに残し、これからの指導をどう工夫するか、少し立ち止まって考えるときの材料にしたいもの。…
美しい、心地よい、好きといった「感覚」を、論理立てて説明したり、どうしてそれが生まれるのか、メカニズム[原理]を言語化して検討・研究したりする機会は、日常の中にはあまりないかと思います。人が感じる美しさや心地よさ、調和といったものは、芸術の世界にだけ存在するものではありません。考え方や、意見・提案、問題の解決策にも、「論理性や合理性を超えたところ」にそれらを感じることがあり、触れた人の心を掴み、広…
授業で与えるタスクの難易度(課題や活動の要求)を調整しようとするのに、タスクの出し入れだけでは十分とは言えません。意外に聞こえるかもしれませんが、学習者/生徒に十分な「準備」と「仕上げ」を求めて実行させることが、適正負荷を実現する前提条件になります。ちなみに、適正な負荷とは、生徒に授業や課題の難易度を「易しい~ちょうど良い~難しい」の5段階で尋ねたときに、真ん中の「ちょうど良い」と隣の「やや難しい…
新しい学力観の下では「各単元の学習内容をしっかり理解させ、知識として定着させた上で、且つ思考力や判断力、表現力も高める」という高い要求が教室に向けられています。以前よりもやるべきことが増えたのは明白ながら、授業時間は基本的にこれまでと変わりません。この結果、当然ながら、「授業時間をいかに有効に使うか」がかつてないほど重要な課題となりますが、解決のアプローチを何かひとつに求めたところで限界があるのは…
現行課程の下、学力観はパフォーマンスモデルからコンピテンシーモデルへと更新が加速しています。大学入学共通テストや各大学の個別入試でも新しい学力観を反映した「意欲的な出題」が見られます。目指すところは、大学進学者のみならず、全ての生徒が卒業後に正しい選択を重ね、より良く生きるための基盤となる「学力」の形成です。基礎力という言葉一つをとっても、それが指すのは従来の「単元内容の根幹をなす知識群」から「言…
授業の効果は、先生方による学ばせ方と、生徒が備えるもの(既得知識や問題意識、学習方策など)とのマッチングで決まります。生徒がこれまでにどんなことを学び(+どう学ぶ中でどんな能力や資質を獲得しているか)、対象への理解や問題意識がどのようなものであるかを捉えないと、効果的な授業はデザインできません。これらは、実際の授業を始めるときより、さらに遡って授業をデザインする/指導計画を起こす段階でも把握を試み…
1 問い掛けの多い授業が良い授業 1.0 問い掛けの多い授業が良い授業(序)1.1 問い掛けのタイプとその機能1.2 問い掛けにきちんと反応させる仕掛け1.3 生徒自身から問いを引き出す関連記事:プロセスに焦点を当てた問い 2 生徒を指名して発言させるとき 2.1 生徒を指名して発言させるとき(全3編)2.2 わからないでいる生徒を指名しても…2.5 発言がなかなか出ない/思考が膨らまないとき2….
1 選択の機会ひとつひとつに備えさせる 1.1 大きな分岐に臨ませるまでに行うべき指導 ★1.2 先に控える選択の機会をいつ認識させるか1.3 進路の手引きは冊子よりもファイリング形式で ★1.4 準備が整わないうちに選択を迫っていないか 2 進路希望の実現をあきらめさせない 2.1 どこまで伸びるか見立てる2.2 第一志望をあきらめさせない指導2.3 受験期は、またとない成長の好機 ★2.4 諦…
現行課程において、知識・理解の着実な形成に加え、基礎力(=言語、数量、情報の各スキル)や、思考力(狭義の問題解決力に限らず、問題発見力、メタ認知・適応的学習力なども含む)などの獲得が、これまで以上に求められているのは、これまでの別稿でも書いてきた通りです。 日々の教室での「学ばせ方」にも、こうした「新しい学力観」に沿うことが求められ、その方向で授業改善も進んでいるはずです。さらに歩を進める前に一度…
授業で用いる教材(プリントやワークシート、スライドなど)を作るとき、「わかりやすい」ものを目指すのは当然だと思いますが、それだけでは「学びに資する有益な教材」にはならないことがあります。わかりやすさ(≒着実な理解の形成)は、掲載する内容の精選、関連性がつかみやすい配列・構成などで高められますが、授業/学習を通して獲得を図るべきは「知識・理解」だけではありません。効果的な伝達に偏ると、ほかの部分の学…