新学期を新たな気持ちで(ご挨拶)

いよいよ(あっという間に?)新学期。新入生の希望に満ちた新しい顔が教室に揃うのも、間もなくです。迎え入れの準備が万端でしょうか。当地の今の気温は摂氏3度。花冷えというにも「ここまで?」と思えるほどの寒暖の差です。先生方に置かれましてもご多用と存じますが、元気に始業式を迎えるべく、くれぐれも御身大切にお過ごしください。これから3年間、6年間の学校生活を送る生徒たちですが、それぞれが抱えている事情は様…

板書の技術、教具の使い方

1 板書の技術 1.0 板書の技術(序)1.1 (その1)深く確かな学びの実現に適切な板書は不可欠1.2 (その2)伝えるべきものを効率的に確実に伝えるために1.3 (その3)授業展開の各場面での板書とそこで学ばせるもの1.4 (その4)板書を辿り直して、学びの振り返り1.5 (その5)生徒のノートに残ったときをイメージして1.6 (その6)板書を補完するツールとしてのプリント1.7 (その7)生…

その他のテーマ(記事まとめ)

1 働き方改革を進めるときに押さえるべきこと 1.0 働き方改革~校務の見直しと再構造化(序)1.1 業務の無駄を省く~現場レベルで可能なコストカット1.2 先生方の多忙解消に~個々の教育活動の価値見直し1.3 優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか1.4 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)1.5 学びの重なりを上手に利用したコンパクトな学校経営1.6 行事にじっくり向き合…

評価、効果測定・成果検証

1 効果測定を通じた教育資源の最適配分 1.1 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)1.2 働き方改革~校務の見直しと再構造化(記事まとめ)1.3 先生方の多忙解消に~個々の教育活動の価値見直し1.4 学校経営計画の進捗を確かめ、達成可能性を高める1.5 優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか1.6 選考基準は妥当だったのか~追跡調査に基づく検証 2 データを用いて理解者と賛…

進路希望の具体化と実現へ

1 選択の機会ひとつひとつに備えさせる 1.1 大きな分岐に臨ませるまでに行うべき指導 ★ Updated!1.2 先に控える選択の機会をいつ認識させるか1.3 進路の手引きは冊子よりもファイリング形式で ★1.4 準備が整わないうちに選択を迫っていないか Updated! 2 進路希望の実現をあきらめさせない 2.1 どこまで伸びるか見立てる2.2 第一志望をあきらめさせない指導2.3 受験期は…

学級経営、生徒意識の把握

1 互いの学びを支え合う集団を作る 1.1 教科学習指導の土台はホームルーム経営 ★1.2 ホームルームの年間実施計画 ★ Updated!1.3 互恵意識で結ぶ学びのコミュニティ1.4 グループワークで作る学びへの積極姿勢1.5 生徒が互いの頑張りを支え合う集団作り1.6 進路意識の高揚を目的とした講演会の企画1.7 多様な生徒で構成する学びのコミュニティ ★ 2 環境整備、係の仕事、トッカツへ…

学校評価、学校広報

1 学校評価アンケートをどう活用するか 1.0 学校評価アンケートをどう活用するか(序)1.1 意図は伝わっているか、成果はあがっているか1.2 より良く知ってもらい理解と共感を得るために1.3 効果を確かめ、教育リソースの最適配分を実現する1.4 学校改革・教育改善を進めるときの羅針盤として1.5 教育目標や指導方針をちゃんと伝える ★1.6 学校評価結果の十分な活用のための実施スケジュール ★…

記事まとめ(大学編~より良い学びの実現へ)

中高に限らず、大学の授業でも「何をどのように教えるか」に加えて、「学生の学びをどのように支えるか」が問われています。授業評価アンケートでも、昔からの「わかりやすさ」や「面白さ、役立つ度合い」に加えて、学生側での学習活動に焦点を当てる項目も織り込まれます。例えば、「学んだことをもとに課題の解決法を考える機会」「周囲とのやり取りで得る気づき」がどのくらいあるかを尋ねる項目や「自分なりの目的をもって学び…

大人数授業での質問対応の工夫[大学編]

中高と違い、大学では比較的大人数で行う授業が(昔ほどではないとしても)少なくありません。学生が多ければ、一人ひとりの疑問や「わからないこと」に丁寧に向き合うのは自ずと難しくなりますが、そうした疑問やつまずきを察知できなければ、学びは確かなものになりません。学生が言語化した疑問は、その先の学びを押し広げる入り口です。口頭での発言以外にも質問フォームへの投稿などの形も取れます。しっかりとその場を作り、…

教育のデジタル化~しっかり考え、正しくかじ取り

先日、新聞である記事を読みました。​内容は、デジタル導入の教育先進国で成績低下や心身の不調が顕在化しているというもの。フィンランドでは紙の教科書復活を「歓迎」する動きがあるとのことです。デジタル教科書の普及が進む中、これまで難しかったこと(例えば学びの個別最適化など)にも可能性が広がっていますが、「使えて便利」と飛びつくだけでは、気づかないところに歪みを作るリスクもあります。教育的な目的(=どんな…

成果より、プロセスに焦点を~探究活動の評価

高校生の探究活動で評価の対象とすべきは、所謂「成果」(論文やポスター、口頭発表といった最終的なアウトプット)ではなく、「探究のプロセスをきちんと体験したか、そこから十分な学びを得たか(=所期の能力・資質を育めたか)」に焦点を当てて行うべきだと考えます。 今のところ、このような視点で「総合的な探究の時間」における評価を設計している学校は多くありません。評価は学びの方向を修正し、目標達成をより確実にす…

探究活動、課題研究

1 横断的・体験的な調べ学習の先にある探究活動 1.1 調べたことの先に~新たな知と当事者としての関わり ・資料を与えて読ませる/探させる、そしてその先に ・探究活動の課題~調べ学習との境界と進路への接点1.2 探究活動の目的から考えるテーマ選び ★ Updated! ・探究テーマに偏りは生じていないか ・知りたいから始める探究テーマ選び1.3 中学での経験を踏まえて考える「高校での探究活動」 2…

探究活動や課題研究と成果発表会(まとめと追記)

課題研究や探究活動の成果発表会は、生徒一人ひとりが取り組んできたことを互いに知り、相互に新たな刺激を得る「相互啓発」の機会としてとても大切だと思います。先輩たちの発表を見た後輩学年も大いに刺激を受け、自分たちも頑張ろうとの思いを持ってくれるはず。こうして受け継がれていく成果と刺激が、やがては学校に「文化」になります。さて、その成果発表会ですが、押さえるべきところをきちんと押さえないと、形だけのもの…

メルマガが正しく届かない場合

いつも当ブログをご愛読いただき、ありがとうございます。現在、一部のメールサービス(ドコモメールなど)で、当オフィスからのメルマガが正しく受信できない事象が発生しています。 メールの「なりすまし対策認証(送信ドメイン認証)」が厳格化されたことの影響によるものです。現在、当メルマガの配信サーバー側の対応を進めております。しばらくの間、ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします…

指導場面でのAIの利活用(記事まとめ)

生徒の指導に当たる中、その効果(生徒の成長)の最大化を図りつつ、労力を抑えることに知恵を尽くしておられる日々と拝察いたします。AIの利活用というと学習指導における個別最適化が大きな注目を集めていますが、探究活動や進路指導でも個々の状況に合わせた対応が求められる場面では時間やリソースの制約は大きな課題。その解決にAIが利活用できないかという検討・研究が各地で進んでいます。現在進行形の先進事例や、学校…

探究活動の目的から考えるテーマ選び

探究活動の目的は、未解決の課題を見つけ、その解決に挑むことで「新たな知を創造する方法と姿勢」を身につけることにあります。さらに、それらの課題に自分はどう向き合い、関わっていくのかを考える機会であり、その中で生徒は、21世紀型能力の「実践力」を養い、とりわけ「持続可能な未来への責任」という資質を獲得します。教育の主目的は「社会に適応させるための訓練」から「社会の課題に取り組み、より良い社会を創る人材…

探究活動の改善を図る「評価と振り返り」

探究活動の成果発表会は、生徒にとって貴重な学びの場です。他の生徒が重ねた努力の成果に触れて自らの取り組みを相対化してみることは適格な振り返りへの第一歩。多くの時間をかけた学びの成果をより深く、確かなものにできるかどうかを分ける重大な局面です。 代表者による発表に触れて、その良い所を理由とともに明確に掴めてこそ、同学年の生徒は自分の取り組みの成果と過程を振り返る際の「彼我の違い」に気づき、後輩学年は…

探究活動と進路指導でポートフォリオに残すログ

自らの学び(成果と過程)を振り返り、成長や進捗を確認しつつ、次に向けた課題を明確にすること(所謂「進捗と改善課題を捉えた学び」の実現)の重要性には、これまでも様々な記事で触れてきました。 教科学習の中では「主体的に学ぶ姿勢を育む」ために欠かせませんが、探究活動や進路意識を形成する学びの中でも重要な指導の一部です。それぞれの指導場面で、「ポートフォリオに残されたログをどう活用するのか、そのためにどん…

探究のプロセスを経た「問いの深化」

探究活動の評価では、成果物(論文やポスター、口頭発表など)の完成度や新規性に焦点が置きがちですが、探究のプロセスを経て、どんな能力や資質、スキルを獲得したかにもモノサシをきちんと当てましょう。きちんとプロセスを踏んだ探究活動なら、最初に立てた問いは、調べたり、考えたり、フィードバックを受けたりする中で、新たな様相を得てバージョンアップしていくはず。探究の過程が進む中で問いがどれだけ深化したかを見て…

授業評価の結果をより良い学びに活かす~大学編

大学で実施される授業評価アンケートは、学生の学びの質を向上させるための重要な手段の一つです。しかし、アンケート結果が単に公表されるだけで、授業改善に繋がっていないケースも少なくないようです。授業評価が意味を持ち得るのは、単なる数値の比較に終わらず、教育の質向上に繋がってこそ。本稿では、評価結果が適切に活用されない理由から、その解釈や授業改善に向けて踏むべき手順まで考えてみます。 ❏ 授業評価が活か…