生徒を指名して発言させるとき(その1)

指名の順番より、生徒の思考と反応を見て 先生方に「生徒を指名するに当たり、どんなことを心掛けていますか」とお尋ねすると、「できるだけ均等に発言の機会を与えるようにしている」という答えがかなりの割合で返ってきます。発言させることで生徒が能動的に関わる授業にしたいとお考えなのだと思います。しかしながら、均等な発言機会の付与が「意図した通りの結果」になっているかというと、そうとも限らないのが現実だったり…

問答・対話、発言、活動

1 学びを深める問いの設計と活用 1.1 問い掛けの多い授業が良い授業(全3編) ・問い掛けのタイプとその機能 ・問い掛けにきちんと反応させる仕掛け ・生徒自身から問いを引き出す1.2 プロセスに焦点を当てた問い1.3 学びを深める、問いの立て方[どんな問いを選ぶか]1.4 学びの場での「問いの活かし方」1.5 問いのあり方に焦点を置いた授業研究 Updated! 2 生徒の発言・質問を引き出し、…

協働学習を"集団としての調和"で終わらせない

教室内での問答や討論などで実現される「対話的な学び」は、生徒が互いの知識や経験、発想や気づきを交換することで学びをより深いものにするのに加え、一人では解決できない課題に取り組むときに「集団知」をどう生かしていくかを学ぶのにも欠かせないものです。しかしながら、対話が盛り上がったかどうかと、一人ひとりの内に学びの成果が蓄積され、深く確かな学びになっているかどうかは別の問題。集団としての調和が生まれ、学…

対話により思考の拡張を図り、観察の窓を開く

授業内に「生徒が活動する場」を作る目的は、課題を与えて発動させた思考を「知識や発想の交換(対話)」で拡張させることと、生徒の頭でおきていることを把握するための「観察の窓」を開くことにあります。沈思黙考という言葉もありますが、一人の頭で考え得ることには限界があり、それを超えていくには対話による思考の拡張が欠かせません。また、生徒一人ひとりの思考を言語化させてみないと、どこで躓き、何がわかっていないの…

副作用を抑え、効能を最大化するルーブリック評価の運用

改めて申し上げるまでもなく、現行課程では「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で学習評価を行います。次期学習指導要領に向けた検討過程では、評価の対象を「知識・技能」に絞るとの提案がなされましたが、他の2観点が、獲得を図るべき能力・資質として、その必要性を失うわけではありません。そもそも、評価を行うのは、「目指すゴールとの距離を測り、どうやってそこに接近/到達するか…

問い返される経験を、自ら問う力に

探究活動に取り組んでいる生徒に、先生方が「その根拠で言い切れるのか?」「ほかの可能性は考えられないか?」などと問い掛けることがあるはず。こうした「突っ込み」を受けることで、生徒は自分の考えを客観的に捉え直して、見落としていた問題点にも気づくことができます。しかし、問い返されることの効用はそれだけにとどまりません。先生方がどこに着目し、どのような問いを投げかけたかを学ぶことで、物事を批判的・論理的に…

問いのあり方に焦点を置いた授業研究

以前の記事では、教室でしかできない学びを充実させるべく、授業は問いを軸に設計する必要があるとお伝えしました。ここで押さえたいのはどんな問いを立てるかで授業デザインは決まるのと同時に、生徒が何を学び取り、どんな能力や資質を獲得するかも変わるということです。先生方が集まって「より良い授業」を目指した研究や研修を行うとき、説明の手法や生徒の動かし方に焦点を置くケースが多いように思いますが、学力観が大きく…

その他のテーマ(記事まとめ)

1 働き方改革を進めるときに押さえるべきこと 2 新しい学力観について 3 次期学習指導要領[2030]に向けて 4 体験を再構成する学び、その舞台としてのコミュニティ 5 時期に応じた指導/スタートと仕上げ 6 学びを広く捉える~指導を通して何を目指すのか 7 より良い学びの実現へ~大学編 8 当ブログをご利用いただくためのTIPS 9 アーカイブ:古い記事をまとめてみました

指導場面でのAIの利活用(記事まとめ)

AIの活用というと、「学習指導における個別最適化」に関心が集まりますが、探究活動や進路の指導でも、個に合わせた対応での「時間やリソースの制約」にはAIを積極的に活用していく必要がありそうです。各地の学校での取り組みを通して学ばせていただいたこと、そこで考えたことなどを折に触れておこしてきたブログ記事を、関連記事も含めてまとめてみました。お時間の許すときにご高覧いただければ幸甚です。追伸: AIは「…

参照先を指定し、生成AIから精度の高い回答を得る

このブログには、これまで書きためてきた1,000本ほどの記事があり、文字列によるブログ内検索では、必要な記事を探し出すのも大変です。生成AIを間に置くことで「記事群をまとめて参照しながら、相談相手として活用できる方法」をご紹介したいと思い、本稿を起こしました。ChatGPTの使い方に止まらず、「当ブログのより便利なご利用」に役立てばこの上ない喜びです。お試しください。 生成AIは便利ですが、回答に…

資料を与えて読ませる/探させる、そしてその先に

現行課程の検討に際し、その土台となった21世紀型能力では、その中核となる「思考力」を構成する要素に「問題解決・発見力・創造力」が挙げられています。cf. 全教科でコミットすべき能力・資質の涵養思考力には、これ以外にも「論理的・批判的思考力」「メタ認知・適応的学習力」といった要素が含まれますが、それぞれに応じた「獲得のための学習活動」を適切に配置したカリキュラムが必要です。 カリキュラムは{学習内容…

選定理由の言語化を~探究活動の成果発表会

探究活動や課題研究には代表者による成果発表がつきものですが、代表者や発表作品を選定した理由はきちんと言語化してレジュメや作品に添えて表示したいものです。発表や作品に触れた生徒に「なぜ選定されたのか」を知らしめることは、探究活動の目指すべきあり方を示すことに外ならず、それ自体が生徒に対するとても重要な指導だと思います。 この記事の内容をChatGPTでイラストに起こしました。クリックで拡大します。 …

探究活動の課題~調べ学習との境界と進路への接点

各地の学校での探究活動や課題研究を拝見する中で、生徒の取り組みには、幾つかの共通する課題が見られるように思います。とりわけ、 といったことは、少なからぬ生徒に当てはまるのではないでしょうか。これらは生徒の取り組み方だけに原因を求めるべき問題ではなく、探究の進め方をどう学ばせてきたか、日々の教科学習でどんな経験を積ませているか、各段階でどう働きかけてきたかなどによるところも大です。探究活動の目的に立…

探究活動やPBLを通して涵養すべき統計スキル

探究活動や課題解決型学習(PBL)に取り組ませるとき、生徒が課題の所在を的確に捉え、より良い解決策を考え出せるかどうかは、「情報を収集・整理し、データを適切に分析するための知識や技能」をどこまで身につけ、使いこなせるかに大きく左右されます。数学や情報の授業で学んだ統計の知識やスキルは、探究活動で「自分事としての課題」に活用してこそ、生きて働く場を得ることになります。探究活動を通したデータ活用の経験…

探究活動の充実には図書室との連携が不可欠

探究型学習の充実を図るとき、図書室との十分な連携は欠かせません。選んだテーマの周辺を調べてみるときも、探究の進め方そのものを学ぶときも、必要な情報を得られる環境が身近なところ=校内に必要です。ネットの検索やAIとの相談も良いですが、信頼できる情報ソースとして、関心の周辺に視野を広げる道具として、書籍の価値は別物です。各教科の学習でPBL型の学びへ転換を図り、「調べる、資料を探す」ことに注力させると…

観察をタスクに「問題発見力」を育てる

21世紀型能力(現行学習指導要領の土台)の中核をなす「思考力」の構成要素の一つに「問題発見力」がありますが、問題を見つけるには、まずは「対象をじっくりと/精緻に観察」することが欠かせません。 グラフやデータテーブルは言うまでもなく、写真や動画、絵画や図版、文章で書かれた資料なども「観察」の対象になりますが、生徒一人ひとりにこうした対象をきちんと観察させる機会は十分でしょうか。 この記事の内容をCh…

明日から3日間、ブログの更新をお休みします。

いつもブログをお読みいただき有難うございます。都合により、明日からの3日間(10月7日~9日)、当ブログの更新をお休みさせていただきます。閲覧はいつも通りに可能です。 教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

先輩たちの研究成果に対して立てる「問い」

探究活動に取り組ませるとき、最も重要なのに、上手くいかないことが多いのが「研究テーマの設定」「問いの立て方」でしょう。導入段階で探究活動の目的をしっかり理解させないと、自分と社会の接点を探すことにも繋がらず、「趣味の延長」を抜け出せない生徒も出てきます。ようやく絞り出した問い(リサーチ・クエスチョン)も、「最初に答えありき」で、「新たな知を作り出す要素」を持たなかったりします。探究活動では、仮のテ…

探究活動の舞台としての地域連携

教育活動の一環(あるいは核)として「地域連携」に以前から力を入れてきた学校では、現行課程への移行後も変わらず、「総合的な探究の時間」において「地域課題」に取り組んでいることが多いかと思います。長きに亘って築いてきた地域との関係は大いに生かすべきであろうと思いますし、学校が教育目標として「地域課題に向き合える人材の育成」を掲げてきたのであれば、急に旗を降ろすわけにはいかないはずです。地域課題の解決を…

次期学習指導要領[2030]に向けて(記事まとめ)

現行課程が完成年度を迎えると同時に、次の学習指導要領に向けた検討が始まりました。別稿の通り、基本的な方向に現行課程と変わるところはなく、社会の変化に合わせた「調整」が掛かるくらいです。これまでに積み上げてきたものをきちんと生かし、新たな要請を正しく捉え、しっかり応えていきたいところ。検討が終わり、結論が示されるのはまだ先ですが、それまでに現場で進めるべき準備もありそうです。これまでに、折々に触れて…