生徒を指名して発言させるとき(その3)
生徒に発言させることには様々な目的がありますが、その目的を達する方法は発言だけに限られるわけではなく、目的に応じた代替手段を講じた方が効果が大きいこともある、というのが前稿の趣旨です。しかしながら、生徒に発言をさせてこそ、そこに含まれる気づきや考えをクラス全体で確実にシェアすることができ、その先に発想の拡充や思考の深まりが期待できる場面も少なくありません。活発に発言が飛び交ってこそ、対話的で深い学…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
生徒に発言させることには様々な目的がありますが、その目的を達する方法は発言だけに限られるわけではなく、目的に応じた代替手段を講じた方が効果が大きいこともある、というのが前稿の趣旨です。しかしながら、生徒に発言をさせてこそ、そこに含まれる気づきや考えをクラス全体で確実にシェアすることができ、その先に発想の拡充や思考の深まりが期待できる場面も少なくありません。活発に発言が飛び交ってこそ、対話的で深い学…
昨日の記事に引き続き、生徒を指名して発言させる場面について、その目的に立ち戻りながら、より良い方法を考えていきたいと思います。クラスの全員に発言の機会を与えることで、能動的に学びに関わらせたいというせっかくの意図も、やり方・手順を誤ると、意図していたのと違う結果を招きかねないことは既にお伝えした通りです。本日は、もう一歩、根源的なところに立ち戻り、「なぜ、生徒に発言させるか」を少し掘り下げてみたい…
先生方に「生徒を指名するに当たり、どんなことを心掛けていますか」とお尋ねすると、「できるだけ均等に発言の機会を与えるようにしている」という答えがかなりの割合で返ってきます。発言させることで生徒が能動的に関わる授業にしたいとお考えなのだと思います。しかしながら、均等な発言機会の付与が「意図した通りの結果」になっているかというと、そうとも限らないのが現実だったりします。発言の準備が整わないまま指名され…
授業内活動というと「生徒同士の話し合い」が真っ先に思い浮かぶかと思いますが、先生との問答、教科書や資料を読んで自力で理解すること、考えたこと/気づいたことをまとめることなど、多岐に亘ります。教室での対話を通じて得た気づきを携えて、課題にじっくり取り組み、納得いく答えを仕上げることだって学習者の活動の一つでしょう。日々の学びの中で、単元内容を理解させていく過程の一つひとつに、生徒が取り組む活動を十分…
前稿に引き続き、教科書や資料を読むことを起点とした学習活動について考えてみます。読んで理解すること(=文字を介した先人/作者との対話)のは学びの基本ですが、活動に取り組んだ中に「何かの進歩」を実感できる仕掛けがあると、活動へのモチベーションは一層高まるのではないでしょうか。読むという活動は、英語や国語といった言語系の教科に限ったものではありません。理科や地歴公民の教科書や資料を読みますし、数学だっ…
思考力や判断力、表現力を高める上では言うまでもなく、知識の定着を図るにも、理解を深く確かなものにするにも学習者自らが活動する必要があります。どれだけ丁寧に教えても覚えるのは生徒ですし、習ったことを使ってみてこそ、道具としての知識に意味の拡張が図られます。知識の獲得・拡充を図る場面でも、自ら調べて情報を集め、知識に編む練習をさせなければ、いつまでたっても教わること以外に学ぶすべを知らないままです。課…
授業準備や導入フェイズの課題として「生徒に問いを立てさせる」ことや、教室でひと通りの学び終えたときに「質問を引き出す」ことの効果については、それぞれの記事でも触れた通りです。問いを立てさせるのも、質問を引き出すのも簡単なチャレンジではありませんが、「せっかく出てきた生徒の問いや質問をどう扱うか」にも、様々な工夫が考えられるところです。各地の先生方の取り組みと工夫を参考に、より良い方法を探していきた…
教科学習指導において、科目に固有の知識や技能を獲得させようとする場合、一つひとつを丁寧に説明して理解させる、所謂「教える」というアプローチのほかに、問い掛けて考えさせたり/体験を再構成させたりする中で「生徒自身に気づかせる」というアプローチがあります。思考は一定の知識がなければ成立しませんので、「しっかりと教える」ことも指導者として逃れられない大切な責任/仕事ですが、生徒が自分で気づけるようにする…
総合的な探究の時間で「ビジネスプラン作り」に取り組ませるケースも少なくありません。社会課題の解決を図る中で新たなサービスや商品が生まれますが、探究とビジネスプランの親和性は元々が高いものです。以前の教育が、現状における社会の仕組みありきで、生徒をそれに適合させるプログラムだったとしたら、今の教育が目指すのは「社会課題を解決してどんな未来を創るか」を考え、行動できる人材の育成です。身の回りから人類の…
1 問いを軸に授業を設計~学習活動の適切な配列 1.1 教室でしかできない学びを充実~問いを軸に授業を設計 ★ ・学びの場での「問いの活かし方」 New! ・目標理解と活用機会を整える授業デザイン (まとめページ)問いをテーマに授業を考える Updated!1.2 確かな学力を獲得させるための「学習活動の適切な配列」 ★1.3 授業を通して21世紀型能力は育めているか ・資料を与えて読ませる/探さ…
今や、世の中の大抵のことは、スマホで検索すれば即座に「それらしい情報」に行き当たり、「答えらしきもの」が簡単に得られます。たいへん便利な社会ですが、ネットに限らず世に飛び交う情報はまさに玉石混交。ときに悪意のフェイクすら入り混じります。鵜呑みにしては選択を誤り、不要なリスクを引き寄せることになります。先ずは耳目に入ってくる情報の真偽を確かめる必要がありますが、その姿勢と方法を学ばせる場もまた、生徒…
日々の学校生活の中では、生徒は様々なことを感じたり気づいたりしていますが、それを漠然とした感想にとどめず、少し立ち止まって考えを深めさせるとともに、言語化し記録に残すことを習慣にさせましょう。先生方とのやり取りや周囲との会話、あるいは授業で読んだ資料など、生徒が受ける「成長のための刺激」は学校生活を送る中のあらゆる場面に存在していますが、それらをもとに熟慮する機会がなければ、気づきや学びは深まりま…
学びや思考の深まりには、「結論を得るまでにどれだけの問いを重ねたか」というモノサシを当てることで測れる部分もあるように思えます。問いを立て、考え/調べ/話し合うたびに「なるほど、そうか」という気づきが生まれるもの。その積み重ねで生まれる「厚み」こそが、学びの「深さ」であると考えるのも、あながち的外れではなさそうです。習ったこと、教わったことを鵜呑みにして、覚え込んでいくだけの工程に「問い」は介在せ…
言うまでもなく、教科学習指導の土台はホームルーム経営です。生徒が互いに刺激し合う(=相互啓発が働く)学びの場は、個々の生徒の学力や技能の向上を支え、学習を通じた成長/進歩を大きくします。 クラスが「成長の場」として機能するかどうかは、「係や当番の仕事」がどれだけ機能しているかや、担任の先生が「期待する行動」をきちんと打ち出しているかなどによって左右されることもわかっています。定期的にアンケートを取…