学習者としての成長を促す"活動評価"と"振り返り"
生徒は各教科を学ぶ中で、教科固有の知識や理解を蓄えているだけではありません。学びへの姿勢や物事の学び方、課題を解決するための思考手順、協働場面でのふるまい方など、様々なものを身につけています。どんな能力や資質、姿勢を獲得させたいのか(ゴール)を明確にし、生徒一人ひとりが今、成長過程のどこにいるのか(現在位置)を掴まないことには、両者を結ぶプロセスである「指導」も計画できません。生徒自身もまた、段階…

当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
生徒は各教科を学ぶ中で、教科固有の知識や理解を蓄えているだけではありません。学びへの姿勢や物事の学び方、課題を解決するための思考手順、協働場面でのふるまい方など、様々なものを身につけています。どんな能力や資質、姿勢を獲得させたいのか(ゴール)を明確にし、生徒一人ひとりが今、成長過程のどこにいるのか(現在位置)を掴まないことには、両者を結ぶプロセスである「指導」も計画できません。生徒自身もまた、段階…
1 学び続けられる生徒を育てる 1.1 自ら学び続けられる生徒を育てる ・学習方策の獲得はどこまで進んでいるか ・目的意識をもって学びに取り組んでいるか ・生徒の興味・関心をどこまで育めたか1.2 全教科でコミットすべき能力・資質の涵養 ★ ・教科固有の知識・技能を学ぶ中で1.3 認知の網の広げ方~5教科7科目をきちんと学ばせる ★ ・5教科7科目に挑ませることの意味1.4 学びに向かう力/主体的…
1 課題解決を軸にした授業デザイン 1.1 教室でしかできない学びを充実~問いを軸に授業を設計 ★1.2 考えるための道具(体系的知識)を揃えさせるときの手順1.3 課題解決を伴わない知識獲得は…[検証編/考察編] ・習ったことを使ってみる機会1.4 課題解決の場を整えたら、挑ませる前に理解の確認 ★1.5 確認した結果に基づいてきちんと学びを仕上げさせる ★1.6 単元ごとに設定するターゲット設…
何かの問題を解いたとき、あるいは何かのタスクに挑んだときに、できた/できなかったという結果にだけ注目しているのでは、どこに間違いがあって成功しなかったか、原因への認識はあいまいになります。失敗の原因を見誤らず、同じ轍を踏まないためには、結果に至るプロセスをステップに分解した上で、振り返りを行うことが肝要です。成功も失敗も、振り返ってこそ、その先に生きる「智恵」になります。進捗と改善課題を捉えた学び…
必要な事柄を不足なく記述したシラバスであれば、学習者に熟読させることで、学びを通して目指すものを理解させ、意欲的に学ぶ姿勢を引き出す効果があります。cf. シラバスを熟読・活用させることの効果活動評価のための観点別評価基準、記述問題の採点ルーブリックなども同様であり、そこに書かれていること(規準)を、導入時や学びが少し進んだところで、生徒にしっかり読み込ませれば、目指すべき到達状態を正しく捉えた「…
― 空回りを防ぎ、確かな学びに導くために ― 探究活動の指導を行っているとき、意図するところ(各フェイズの活動への取り組み方、そこでの成果が満たすべき要件など)が生徒に上手く伝わらず、狙った方向の取り組みにならないことが少なくありません。取り組んでいる生徒の側でも、戸惑いながらも努力しているつもりなのに、しっくりくるものにならず、挙句の果てに、だいぶ進んだところでダメ出しを喰らっては、やる気も削が…
教科学習指導において、各単元の内容を理解することは、「ゴール」というよりむしろ「中間地点」と捉えるべきものと考えます。単なる理解に止まらず、獲得した知識や技能が活きて働くことは必達目標ですが、さらにその先もあるはず。そこに導くのも先生方のお仕事です。理解したことの中に新たな疑問を見つけて掘り下げていけば、知の地平が広がり、解決すべき自分事としての課題を見つけることもあると思いますが、外からの働き掛…
早いもので新年度を迎えて約3か月。夏休みも間もなくですが、年度の当初から取り組んできたことがどれだけ成果を上げているかを点検し、秋からの指導に見通しを立て直して、準備を進める重要な時期です。教科担当者として、ホームルーム担任として、あるいは分掌の立場で、それぞれに振り返るべき点があろうかと思います。また、管理職の視点からも学校全体の動きを俯瞰し直してみる必要があるはずです。また、授業改善を確実に進…
学期が終わりに近づいたこのタイミングで確認しておくべきことの一つは「新学期に生徒に伝えたメッセージを生徒がどこまで消化し、自分のものとして習慣化できているか」です。別稿の「やりきらずに放置してきたことを仕上げさせる」と共に、この時期の指導の主眼でしょう。新学期が始まるとき、教科担当者として、あるいはホームルーム担任として、生徒に様々な期待(獲得して欲しい能力や資質、深く考えてもらいたいこと、習慣に…
夏休みを迎える生徒に、今のうちに投げかけて考えさせておきたいことの一つは「1学期中にやり残してきたことはないか」です。夏休みは、やり残しに向き合い、きちんと仕上げ直す、かけがえのない機会です。英語の語彙増強(単熟語の暗記)といった単純なタスクも、先生が小テストまで行いペースを作ってくれたのに、十分に取り組めていなかったり、自分で立てた受験勉強の計画にも遅延が膨らんでいたりと、生徒一人ひとりに様々な…
生徒にもやるべきことが山ほどあります。日々の勉強に加え、部活動や生徒会活動、家事や家業にアルバイトなど、タスクの多様さは社会人を上回るかもしれません。時間を効率的に使い、手持ちの時間の中にやるべきことをきちんと配列できるようになってもらいたいところです。多彩なタスクの中で、生徒が自分を成長させ、未来を拓く力を身につけていくのに必要なことを後回しにさせないよう、しっかりとタスク管理とスケジューリング…
新しいことを学ばせるときは、「これから学ぶこと」について、生徒がこれまでの(教室に限らず生活のすべてを含む)学習を通し、何をどこまで知り、どう捉えているかを把握しておくことはとても大切です。生徒が既に知っていること/イメージできていることと、授業を経て形成を図る「十分で正しい理解」との差分を埋めることが、本時の指導で達成すべきことである以上、学びのスタートで生徒がどこにいるのかを把握することは、指…
別稿「目標提示が苦手意識を抑制」では、先生方による目標提示(到達目標と取り組み方の明示)が、学習者が抱える苦手意識を抑え込む効果について、データを示しつつ、考えるところを整理してみました。本稿では、苦手意識を抱えさせない段階からもう一歩踏み込み、「自ら課題を設定しながら成長を重ねていける生徒を育む」ために、先生方を含む周囲の者がどう関わっていくべきか、考えてみたいと思います。生徒に限りませんが、昨…
人の話を聴いていて、目の前でなされている説明の一つひとつは理解できるのに、全体として何が言いたいのか、どこに向かおうとしているのか、どうにもピンとこない。こういった経験はないでしょうか。授業中の生徒も同様の経験をします。先生方の話す内容の一つひとつは理解できていても、今日の授業で何を目指しているのか、自分は今何を学んでいるのか、全体像を生徒が掴み切れていないことがあります。つまりは、説明の部分部分…
本シリーズでは、理解度の確認について、目的とするところ、発問による理解度の確認、小テストによる確認と順に考えてきました。本稿では続いて「提出された課題を通して行う理解度の確認」を考えます。ここでいう「課題」とは、論述答案、レポート、調べたことをまとめたプレゼンシートなどを指します。発問や小テストが個々の項目の理解を測定するのに対し、より広い理解と深い思考を試すもの、単元やテーマの全体像をどれだけ捉…
前稿では「発問」を通じた理解度の確認方法について考えてみました。導入・展開・まとめのいずれの局面でも、発問という形態が持つ「反応の即時性」「対話への繋ぎやすさ」という強みを生かしたいところ。確認に頻用されるもう一つの形式は「小テスト」。よくある求答式や選択式の回答方式では、理解しているかより、覚えているかどうかに測定が偏りがちという弱みもありますが、一方で、正誤の結果や誤答の分布を定量化しやすく、…
理解度を確認する方法には、発問、小テスト、課題等の提出物の点検、生徒同士のやり取りなどの観察といった様々なものがあります。それぞれの方法に長所・短所があり、用いるべき場面や上手に行うために押さえておくべき「勘所」も違います。まずは、発問/問い掛けによる理解度の確認から、場面を分けて効果的なやり方について考えます。 2014/05/23 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 新しい概念等を学ばせ…