学びへの目的意識~データと考察(その1)

当オフィス監修の「生徒による授業評価&生徒意識アンケート」では、伝達スキルや授業デザインに加えて、主体的な学びの実現度も推し量るべく、学習方策と目的意識について生徒の意識を質しています。 学ぼうとしても自力で学べるだけの術を身に付けていなければ、誰かが教えてくれるのを頼るしかない「依存」から抜け出せず、学ぶことへの自分の理由(課題や目的)がなければ、言われてやるだけの「受動」に止まります。いずれも…

夏季休業等のお知らせ

残暑お見舞い申し上げます。 暦の上では「立秋」とのことですが、秋の気配とは歩ほど遠く、本日も当地の最高気温予想は33℃、熱中症も「厳重警戒」です。先生方におかれましては、夏の間もご多用のことと拝察いたしますが、くれぐれも御身大切にお過ごしください。 さて、夏季休業等のお知らせです。当オフィスは、8月9日(金)より17日(日)まで夏季休業といたします。ブログの更新は、明日から20日(火)までお休みし…

評価、効果測定・成果検証

1 効果測定を通じた教育資源の最適配分 1.1 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)1.2 働き方改革~校務の見直しと再構造化(記事まとめ)1.3 先生方の多忙解消に~個々の教育活動の価値見直し Updated!1.4 学校経営計画の進捗を確かめ、達成可能性を高める Updated!1.5 優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか1.6 選考基準は妥当だったのか~追跡調査に基づ…

授業改善での協働のあり方

1 授業を観る、授業を観てもらう 1.1 優れた実践を見て言語化する(見取り稽古) ★ ・実践報告に触れての気づきを言語化することの効果 Updated!1.2 生徒を中心に授業を観る(その1)、(その2)1.3 自教科以外の授業も参考に「学ばせ方」を見直してみる ★1.4 授業を観てもらう「チャンス」を活かす1.5 自分撮りのススメ~自分の授業を客観的にみる1.6 教科会に期待される役割~ちゃん…

模試の結果を正しく振り返る(学習行動の改善)

以前の記事「模試や考査の事後学習~間違え直しだけでは不十分」でも書きましたが、模試や考査の結果を戻すとき、所謂「間違い直し」に取り組ませるだけでは不十分。学習行動の十分な改善は期待できません。テストの結果を通じて振り返るべきは「これまでの自分の勉強への取り組み方や学習方法」であり、振り返りを行う目的は「より良いパフォーマンスを得るにはどのように行動すれば良いか」という自分の課題を見つけること。ひい…

先生も生徒も、評価者としてのトレーニング

新しい学力観への転換に伴い、指導方法の工夫を重ねるのと並行して評価方法にも組み直しが必要になります。(cf. 指導と評価の一体化)当ブログでも繰り返し申し上げてきましたが、学習評価は以下のような様々な材料とそれに応じたツールを用いて多面的に行うものであり、いずれも新しい学力観に沿ったものへの更新が必要です。 考査問題や課題類を新しい学力観に沿ったものにアップデートしたり、活動場面ごとに用いるルーブ…

生徒は評価者としてどこまで成長しているか

発表やプレゼンの評価、論述答案の採点などにルーブリックを適用してみたとき、生徒による自己評価の結果と先生方の目での評価の結果との間にどのくらいのズレが生じているでしょうか。同じ評価/採点基準(観点別に定めた段階的な評価規準)に照らしている以上、基準の適用が正しくできれば、先生がやっても生徒がやっても結果は同じになるはずなのに違いが出ているというのは、生徒は観点や規準をきちんと理解できていない/適用…

チェックリストを用いた目標提示と達成検証

学習目標を示すのに最も効果的なのは、別稿で書いた通り、「学び終えたときに解を導くべき問い」を導入フェイズで示しておくことですが、練習や話し合いなどの活動の場面では「解を導く」こと以外にも目標があり、その効果的な伝え方を別の形で確立しなければなりません。練習を通じてできるようになるべきこと、取り組みのポイントやふるまい方、協働場面でのチームへの貢献などの「実現を目指すべきこと」を行動評価の基準として…

説明がわかりにくいと言われたら

言うまでもなく、「説明や指示のわかりやすさ」は、授業の成否を左右する大切な要素です。先生の説明や指示、意図するところが十分に伝わっていなければ、生徒が課題解決や対話協働などの学習活動に取り組もうにも、その土台(=理解)は固まらず、目標の達成は見込めません。本時の「学習内容の理解」もままならず、如上の活動を通して狙っていた「能力や資質の獲得」も進まないのでは、学びが進むたびに、生徒が抱える不明や学習…

カリキュラム・年間指導計画

1 シラバスの起草・更新に際して 1.0 シラバスの起草・更新に際して(序)1.1 その1 まずは全体を見渡したグランドデザインを1.2 その2 指導計画立案の前に検証可能な目標の設定1.3 その3 副教材の取り扱いや学ばせ方のすり合わせ1.4 その4 使いながら記録を残してブラッシュアップ1.5 シラバスを熟読・活用させることの効果 ★ 2 新課程とカリキュラム・マネジメント 2.0 新課程に備…

暑中お見舞い&メンテナンスのお知らせ

暑中お見舞い申し上げます。 梅雨明けから猛暑が続く中、近所の景色もすっかり夏です。 追伸、今年も近所の百日紅が咲きました。(先日撮影) 少し季節が進んで秋風を感じるようになるまで暑さには要注意ですね。先生方におかれましては夏休み中もご多忙と存じます。くれぐれも御身大切にお過ごしください。さて、明日7月25日(木)ですが、サーバーのメンテナンスが予定されていることもあり、ブログの更新をお休みいたしま…

振り返りのためのアウトプット #INDEX

インプットに不備や不足があっても、アウトプットの機会を持たなければそれに気づくことができません。しっかり教えて、きちんと覚えさせるというアプローチだけでは、振り返りの材料(=先生方にとっては評価の根拠)が得られず、学習/指導の改善が図れなくなります。 といった体験/活動を通は、本当に理解できたかどうか、どこまで思考が深まったかを確かめるためばかりでなく、次の機会により良いパフォーマンスを得るのに、…

振り返りのためのアウトプット(その2)

生徒が自らのインプット(それまでの学び)に不備や不足があったことに気づくためには、アウトプットの機会を用意することが必要です。アウトプットが首尾よく行え、学びの成果を上手く形にできたら、それはそれで生徒に達成感を与え、次の学びへのモチベーションを高めますが、うまく行かなかったときに取る「次の行動」こそが、学習者としての成長、自立に繋がっていく鍵だと思います。 2015/01/06 公開の記事を再ア…

振り返りのためのアウトプット(その1)

授業で学んだことを用いて問いに答えを導く場や、調べてきたことに基づく討論や発表など、学びの成果のアウトプットには様々なものがありますが、一連の学習活動の「終端」と捉えているだけでは、その機能を十分に活かせません。アウトプットはゴールではないということです。アウトプットを通して、そこまでの学習(インプットとインテイク)に不備や不足がなかったかを確かめ、補うべきもの、修正すべき点を正しく認識させてこそ…

発言がなかなか出ない/思考が膨らまないとき

授業中の活発な発言や思考を促そうと、様々なアクティビティを仕掛けてみても思ったように生徒が動いてくれないことも少なくありません。生徒が自力で/協働で解決すべき課題を与えないと、活動が自己目的化し、盛り上がりにも学びの深まりにも欠けてしまいます。しかしながら、しっかりお題を与え、生徒が考え/話し合う場を作ってみても、戸惑いもあるのか動き出しが悪かったり、然したる意見も出なかったりと、思考の深まりが一…

対話で行う理解確認

生徒の理解を一つひとつ確かめながら授業を進めることは、学びの成果を積み上げるのに不可欠なのは言うまでもありません。実際のデータでも、理解確認と学習効果の間には、かなり強固な相関が見て取れます。 【理解確認】先生は生徒の理解を確かめながら授業を進めてくれる。 【学習効果】授業を受けて、学力の向上や自分の進歩を実感できる。 散布図に重ねたヒストグラムを見ての通り、学習効果が75ポイント(=否定的な回答…

目的意識をもって学びに取り組んでいるか

自立的に学びを進められるだけの土台(学習方策)を備えることに加えて、学ぶ意欲や学ぶことへの自分の理由(目的意識)を持っていることは、主体的な学びを成立させるのに欠かせない前提条件です。前稿で考察した「学習方策」(この科目の学び方や取り組み方が身についた)に続き、本稿では目的意識に焦点を当てて、授業評価アンケートの回答データの解析結果が示唆するところをお伝えします。 2020/08/21 公開の記事…

学習方策の獲得はどこまで進んでいるか

新課程への移行を機に「主体的、対話的な深い学び」の実現が進んだと思いますが、検証の材料(授業評価アンケートや活動評価の結果に加えて、ポートフォリオの各種ログなど)を揃えて進捗を確かめましょう。その中で見つかった「好適実践」の共有も着実に図りたいところです。本稿と次稿では先ず、「主体的な」に焦点を当てて授業評価アンケートの回答データの解析と考察を試みます。主体的な学びは、生徒が学ぶ意欲や学ぶことへの…

規律ある生活、集団生活のマナー

生徒一人ひとりに好ましい生活(習慣とサイクル)を身に付けさせるには、先生方から「日々をどう過ごして欲しいか」を絶え間なく伝えていく必要がありますが、それだけで着実な成果が上がるとは限りません。併行して、生徒が自ら規律について考える機会を設けたり、タスク管理や時間の使い方を学ばせたりするための指導機会の整備も欠かせないはずです。様々な場面で振り返りを行わせ、行動の変容を促しましょう。規律ある生活を送…

将来を見据えた行動選択

先に控える選択の場や待ち受けるハードルを見据えて、今やっておくべきことは何かを正しく判断し、具体的な行動に起こせることは、かけがえのない時間を有意義に過ごすのに欠かせないものです。ベースになるのは、様々な活動のたびに行う「振り返り」を通じて養うメタ認知・適応的学習力。成果のたな卸しと次に向けた課題形成を正しく行わせられるかが、生徒一人ひとりの成長を左右します。生活・学習・進路の各領域で様々な体験と…