中高一貫校での中高/前後期接続

中高一貫校の強みは、6ヵ年を通した指導計画のもとで中断なく指導の成果を積み上げられることにありますが、中高/前後期の接続に課題を抱え、本来の強みを生かし切れていないケースもあります。中学/前期課程では高い学力向上感や積極的な学ぶ姿勢が観測されていたのに、高校/後期課程に進んだとたんに伸びを欠くこともしばしばです。 新課程が求める「学ばせ方」~学年間の円滑な接続 下図は、中等教育学校を含むいくつかの…

"正解を言って欲しい"と言う生徒

生徒や学生にアンケートで授業への感想を尋ねてみると「正解をちゃんと言ってもらいたい」という声がちらほらと混じります。先生は意図をもって敢えて正解を示していないのが傍からも明らかな場合にもです。ここから垣間見える問題は、「答えは与えられるものではなく、自分で作るもの」という発想をしっかり持っている生徒・学生ばかりではないということではないでしょうか。 2018/04/11 公開の記事を再アップデート…

生徒の答案をシェアして作る学び(相互啓発)

様々な答えやアプローチが予想される問題を扱うとき、生徒一人ひとりに個人ワークで取り組ませるだけでは、発想も広がらず、多様な考え方を踏まえた上での答えに辿り着くのは容易ではありません。生徒同士が互いの気づきを交換して、視野と発想を拡充する場として、協働や討論などの活動を授業に組み込むことが不可欠です。当然ながら、グループでの話し合いが盛り上がり、何となく答えらしきものが見えてきても、そこで学びを止め…

解くべき課題で「何のために学んでいるか」を伝える

単元内容が明示され、何を学び、何を身につけるべきかが示されたとしても、その前段階として、「何のために学ぶのか」という問いに生徒が答えを見いだせないことには、「学ぶことへの自分の理由」は生まれてこないのではないでしょうか。自分の理由がなければ、所詮は他人事。身を入れて学ぶ気にならなかったとしても、生徒を責めるわけには行かないような気がします。何のために学ぶのかという如上の問いには、「学ぶことがどのよ…

授業を終えてからの学びの「仕上げ」と「拡張」

授業は50分という限られた時間の中で行われるものですから、その中でできることには自ずと限りがあります。授業内での学びで得た知識や気づきを携えて課題にじっくり取り組み、学びを深く確かなものにすることや、教室での学びの中で刺激された興味や関心に沿って学びを拡張していくことで、学びの総量(深さ✕広さ✕密度)を大きくしたいものです。 2020/01/27 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 教室での気…

負荷を抑えて「できた気」にさせてしまうことのリスク

適正な負荷を掛けることは力を効率的に伸ばします。少し背伸びすれば手が届くところに目標が設定されてこそ、頑張ってみようという気にもなるのではないでしょうか。楽々と飛び越えられるハードルでは「本来はできなければならないことなのに出来ていないこと」に気づく機会も持てず、より良いパフォーマンスに向けた課題形成も行えなくなり、メタ認知・適応的学習力の獲得にもブレーキがかかります。生徒が学習内容を確実に理解で…

対話などの学習活動が、学びの成果に直結しない?

授業評価アンケートの標準的な質問設計に含まれる、Ⅵ対話協働「話し合いなどの協働で、気づきや学びの深まりが得られる」は、対話的な学び、深い学びがどこまで実現しているかを測る意図で設けた項目です。対話は、気づきや発想の交換で思考を拡充するために欠かせないものですし、協働の場面は、様々な課題の解決に協力し合って取り組むときに必要な姿勢やスキルを獲得させるトレーニングとして不可欠です。思考力のみならず、表…

学びの成果を妨げているボトルネックはどこに?

授業評価アンケートの集計結果を分析してみると、「目的変数」であるⅦ学習効果への寄与度で最も大きな値を示すのは、Ⅴ活用機会です。Ⅶ学習効果を目的変数、先生方の直接的なコントロールが比較的容易なⅠ~Ⅵの各項目(評価項目と質問文はこちらでご参照いただけます)を説明変数とする重回帰分析の決定係数は0.827と十分に大きな値です。習ったことをもとに考える機会が課題などで整っていることは、新課程が求める「知識…

新課程が求める「学ばせ方」~学年間の円滑な接続

前稿「授業評価アンケートの集計結果を相対的にみる」でも少し触れましたが、Ⅴ活用機会やⅥ対話協働は、教室でどのような「学ばせ方」がなされているかを集計結果から推測できる項目です。 活用機会:習ったことをもとに考える機会が課題などで整っている  対話協働:話し合いなどの協働で気づきや学びの深まりが得られるこれらの項目で、校種間あるいは学年間の差が大きくなっている(円滑な接続がなされていない)箇所では、…

授業評価アンケートの集計結果を相対的にみる

今年も多くの学校で授業評価アンケートをご利用いただきました。この場を借りて、改めまして心より御礼を申し上げます。集計データの分析結果のご報告に各校をお訪ねするのはこれからが本番ですが、この機に多くの学校の集計結果を横断的に眺めてみました。下図は、この夏に授業評価アンケートをご利用いただいた様々な学校のデータ(質問設計は当オフィス推奨のものをご採用いただいているため共通です)をマージして作成したもの…

答案のシェアや発表で相互啓発を正しく働かせる

生徒に考えさせたり調べさせたりしたことを、答案やレポートとしてシェアしたり、発表を行わせたりするときには、できることならすべての生徒に「成果発表の機会」を与えたいもの。 生徒の答案をシェアして作る学び(相互啓発) プレゼンテーション/成果発表を機につくる成長の場 それぞれの生徒が考えたこと/気づいたことを介した相互啓発はクラス全体に大きな学びをもたらしますし、頑張ったことを認めてもらえることも「繰…

生徒が学んできたこと、経験してきた学び方の確認を

どの教科の学習指導でも同じですが、本時の学びに繋がるところ[既習内容]を、目の前にいる生徒がどこまで/どのように学んできたか正しく把握した上でなければ、効果的な学びの場は作り出せないはずです。知っているだろうと先生方が思い込み、「既習」と想定していたことを生徒が学んでいなかったとしたら通じる話も通じませんし、既に学んで知っていることを「初出」と取り違えていても無駄が生じます。既視感の中で退屈を覚え…

フォーメーションは、意図的に且つ頻繁に更新

ペアワークやグループワークに取り組ませるとき、フォーメーションはどのくらいの頻度で、またどんな意図で変更しているでしょうか。生徒の組み合わせが固定してしまうことの悪影響は小さくありません。仲の悪さで活動が阻害されるのも困りますが、仲の良い生徒とばかり組んでいても、「なあなあ」になってしまうかも…。多様な人々とコミュニティを形成し、そこで課題の解決に協働で取り組むときに必要になることを身につけるのが…

授業評価アンケートの結果の見方、活かし方 #INDEX

より良い授業の実現を目指して、改善課題の形成と改善行動の効果測定を行ったり、校内に存在する優れた実践を共有・継承すべくその所在を特定したりするのに欠かせないデータのひとつが、生徒による授業評価アンケートの集計結果です。質問項目に組み込まれている「授業を受けて学力の向上や自分の進歩を実感できるか」という質問に肯定的に答える生徒がどれだけ存在するか/増加したかを観察すれば、授業改善の進み具合が推定でき…

できることはどんどんやらせる~生徒の邪魔をしない

先生が先回り/肩代わりせずとも、生徒にやらせてみればできることはどんどんやらせるべきだと思います。現時点では少しばかり生徒の手に余るようなことでも、「できるようになってもらいたいこと」なら、トライさせることなしに、出来るようになるチャンスを奪ってしまうようなことは、努々慎みたいところ。教科書や参考書に書かれていることだって生徒に自力で読ませれば理解できるはずですし、もしできない生徒がいたとしたら、…

学習機会としての模試受験 #INDEX

模擬試験には、当然ながら合否判定の結果をみて志望校/出願校を選ぶという使い方もありますが、学習機会としても積極的・戦略的に利用したいものです。少なくとも半日、ときに丸一日という多大な時間を模試に費やした挙句、合否判定の結果で進路の可能性を狭めていくだけならば、授業を進めた方がましかもしれません。 2014年11月に起こしたシリーズを再アップデートしました。 模擬試験を受けさせる前の指導、成績が戻っ…

どこまで伸びるか見立てる(進路希望の維持:続編)

前稿「模試受験後の指導~進路希望を維持させる~」の続編です。模試などの結果を踏まえて、生徒は最終的な出願先を選び出していきます。最終的に出願する大学・学部が、生徒が入学してきたときや進路を考え始めたときに思い描いていたものと違っても、高校生活を送る中で「学びたいこと、学んだことを活かしてやってみたいこと」を見つけて、積極的に選び出した進路であれば何ら問題はありません。むしろ、生徒が努力を重ねて進路…

模試受験後の指導~進路希望を維持させる~

模擬試験を受験させた後の指導は、進路希望の実現への意欲を維持させる上で最も大切なことのひとつです。それまでの自分の学びをきちんと振り返る中で「次に向けた課題」を明確にできるかどうか、戦略を立て直すことで「志望実現に向けた勝算」を描き続けられるかどうかが、受験生としてのその後を大きく隔てます。 2014/11/28 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ やりたいことに挑み続けられるように 模試の…

学習機会としての模試受験(その3)~好機はいつ?

近くに予定されている模擬試験をターゲットに学び直しに挑ませる機会を整えるのは、未習熟・未定着を解消して模試の成績を引き上げるためだけではありません。これまでの学びを振り返らさせて、主体的に且つ計画的に学習を進める姿勢と方法を学ばせることも狙ってのことです。 2014/11/27 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 好適時期に集中して行うべき指導 勉強と部活動との両立を図り、ときに二兎ならぬ三…

学習機会としての模試受験(その2)~計画させる

模試を「中間目標」に、それまでの準備を計画させるときに大切にしたいことの一つは、「やるべきことを生徒自身に選択させる」ことです。先生方が課題を指定し履行させるだけでは、効果的で実行可能性を備えた計画を立てる力を身につけるためのトレーニングになりません。やるべきことのピックアップと持ち時間内への配列も決して簡単なタスクではありませんが、「できるようになってもらいたいことは、どんどんやらせてみる」よう…