アンケートの結果が予想より低い/高いとき

授業評価や学校評価のアンケートを行うと、予想していたのと大きく違う結果が出て戸惑うときがあります。日々の手応えと比べて極端に高い評価を得たり、逆に下回ったりしたこともあるのではないでしょうか。また、教育活動に様々な修正を加えたり、刷新したりしたにもかかわらず、評価結果にプラスの変化はなく、むしろ下がったりすることもあろうかと。指導の強化が評価の低下に繋がってはガッカリです。アンケートの結果が想定し…

カリキュラム・年間指導計画

1 シラバスの起草・更新に際して 1.0 シラバスの起草・更新に際して(序)1.1 その1 まずは全体を見渡したグランドデザインを1.2 その2 指導計画立案の前に検証可能な目標の設定1.3 その3 副教材の取り扱いや学ばせ方のすり合わせ1.4 その4 使いながら記録を残してブラッシュアップ1.5 追記)シラバスを熟読・活用させることの効果 ★ 2 新課程とカリキュラム・マネジメント 2.0 新課…

選択した結果を正解にするのは「これからの行動」

選択を迫られれば、誰しも「これが本当に正解なのか」と迷い、選択の結果が左右するものが大きいほど悩みは深まります。それでも「人生で何をすべきか」は外の誰でもなく、自分で決めなければならないもの。進路を選ぶところに来てなお、まったく悩みがないという生徒は、調べたり考えたりするのが足りていないだけかも。多くの情報を集め真剣に考えるほどに選択肢は増え、悩みが増えることも少なくなさそうです。選択に悩んでいる…

教科書内容の理解を「学びのゴール」としない

教科書や資料に書かれたことを正しく理解することは、いかなる場面においても大切なことであり、ないがしろにすることはできません。当然ながら、教科書をきちんと読ませることを通じて、書かれていることを自力で読んで理解する力もしっかり獲得させたいところです。しかしながら、新しい学力観の下では、学びのゴールは「教科書や資料の内容を正しく理解すること」ではなく、そのさらに先に設定する必要があるのではないでしょう…

学びにおけるインプット(input)とインテイク(intake)

新しい学力観に沿った学ばせ方への転換を図ろうとするとき、学ぶ過程を「インプット」と「インテイク」に分けてみると、様々な着想が得られたり、見落としていたものに気づきやすくなったりします。ともに知識や情報を外から内に入れることに変わりありませんが、専ら外からの働きかけで行われる「入力」と、不明を見出した/興味を持ったときに、自ら求め、工夫して行う「取り込み」とは別ものです。 2019/03/22 公開…

指導計画の更新は、効果測定の結果を踏まえて

年度末が近づくと、今期の指導の仕上げと同時に、来年度に向けた指導計画づくりも進んでいきますが、後者を進めるときの土台は「これまでの指導が得た成果(進捗)と不足していたこと(改善課題)」の的確な把握にあることは改めて申し上げるまでもありません。生徒に対する指導と評価の一体化と同様に、「進捗と改善課題を捉えた学び」は、先生方の営み(=教育活動)の改善にも不可欠です。 ❏ まずは、取り組みに込めていた意…

理解確認/学びの振り返り

1 理解度の確認~場面と方法 1.1 理解度の確認~場面と方法(序) Updated! その1)理解度の確認はなんのために行うのか その2)発問/問い掛けによる理解度の確認 その3)小テストによる理解度の確認 ・小テストをもっと効果的に(前後編) ・授業内に行う小テスト その4)提出された課題に目を通して行う確認 ・提出物は丁寧に添削して返すのがベスト?1.2 既習内容の確認は、問い掛けで ★1….

効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)

学校教育への様々な要請に応える中で、教室には次々と新しい教育活動が採り入れられてきました。次期学習指導要領への検討も始まりましたが、これからも新たな取り組みは加えられ続けるものと思われます。既に作り上げてきたものに「足し算」をするだけでは、限りある教育リソースが枯渇するのは火を見るより明らか。以前からのものも、新しく組み込んだものも、その効果のほどをきちんと測定し、効果の小さいもの/費用対効果に劣…

新課程完成年度の大学入学共通テストを終えて

週末に実施された大学入学共通テスト(現行指導要領の下での初回)の問題に目を通しているところです。今回のテストに向けて、これまでも時々記事を起こしていましたが、その時に考えた/お伝えしたことが果たして妥当だったのか、改めて検証していきたいと思います。 先生方にとっては、3年間に亘って積み上げてきたご指導の効果測定の機会でもあります。自己採点の結果(可能ならば大問別の小計も欲しいところ)に照らして、修…

思考力と表現力を養うには

1 学力の三要素~思考力の捉え方もアップデート 1.1 学力の三要素とは~もう一度考えてみました1.2 PISAが測ろうとしている「創造的思考力」 ★1.3 論理的思考と批判的思考1.4 観察をタスクに「問題発見力」を育てる ★1.5 探究活動を通じて育む「思考力」と「実践力」1.6 メタ認知、適応的学習力 ・失敗から正しく学べているか ・助言や指示は、生徒自身がじっくり振り返ってから ★ 2 新…

「学びの拡張」まで考慮したカリキュラムの設計

カリキュラムの設計(指導計画の立案)に当たって予め考えておくべきことの一つに「学びをどこまで拡張するか」という問題があります。言うまでもありませんが、学びの拡張を図るのは、授業ごと/単元ごとの学びにおいてコアとなる理解をしっかり形成してからです。根っこと幹がしっかりしていない木が枝を伸ばしても、ぐらぐらするばかりで大きくがっしりしたものにはならないのと同じです。コアを形成した後、どこまで学習を掘り…

リフレクションシートの記載を参考に観察精度を高める

生徒にその日の学びを振り返らせるのは、「できるようになったことを棚卸しさせて学びへの自己効力感を高める」と同時に「次に向けた自分の目標を設定させる」ためですが、ログに書き出された「振り返りを通して得た気づきや内省」は、生徒が成した進捗や抱えている課題などを指導者が知る貴重な手掛かりとして、欠かさず目を通すべきものです。リフレクションシートへの記載を熟読して「授業者としての意図がどこまで生徒に伝わっ…

理解度の確認~場面と方法 #INDEX

ひと括りに「理解度の確認」とまとめてしまいがちですが、その方法は発問、小テスト、課題など様々。指名以外にも生徒同士の話し合いを観察する手もあります。それぞれの方法には得手/不得手な領域があり、どれかに偏っているようでは、広く的確な理解確認は難しくなります。また、授業を進めるときのフェイズ(場面)ごとに、確認を行うことの目的も違います。それぞれの目的に合致した確認方法の正しい選択は、理解の確認という…

予想と違う結果がでたときにこそ~実験などの場面で

理科の授業では「実験」が欠かせませんが、配られているワークシートを見ると「うまくいったとき、予想通りの結果が出たとき」だけを想定した書式になっていることが少なくないように思います。すべての実験が上手くいくとは限らず、ちょっとしたところで操作を誤っただけで、想定した結果にならないこともあれば、機器の扱いが拙いなどの理由で測定誤差が大きく出たりすることも少なくないはずです。こうした場面に遭遇したときの…

学びを深める、問いの立て方とその使い方

別稿「どんな問いを立てるかで授業デザインは決まる」でも申し上げたことですが、「問いの立て方」とその「使い方」は、授業を通した学びの大きさ(成果=深まりと広まり)を大きく左右します。問いを起点に展開する様々な学習活動を「深く広い学び」に結実させるには、どんな問いを用意するべきか、常に考える必要がありそうです。なお、用意した問いの使い方については、別稿に考えるところをまとめました。併せてご高覧下さい。…

次期学習指導要領に向けて~教育へのAI利活用

昨年12月25日に中教審で、学習指導要領の改訂に向けた検討が諮問されました。検討課題のひとつが「生成AIの発展などを踏まえた、知識の集積だけではない、深い意味の理解を促す学びのあり方」です。翌26日に公開された「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」(外部リンクでPDFが開きます)の内容も併せて、これからの学ばせ方の方向性を探ってみたいと思います。 ❏ ガイドラインの内容は…

新年あけましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。多くの先生方より賜りました格別のご厚誼に、改めて心からの御礼を申し上げます。新しい年も、現場で頑張る先生方のお役に少しでも立てるよう、微力ではありますが、できる限りを尽くして参る所存です。引き続きご指導を賜りますよう、どうぞ宜しくお願いいたします。年が明け、進路指導が最終局面を迎えるとともに、来年度に向けたゼロ学期も迎えております。何かと慌ただしい時期ですので、「仕…

年末・年始の業務について(ご挨拶)

平素より格別のご高配を賜り、誠に有難うございます。 早いもので師走も押し迫り、今年も残すところ6日となりました。先生方におかれましては、ご多用の師走だったかと拝察いたします。 年末年始のお休みはどうぞごゆっくりとお過ごしください。さて、当オフィスでは以下の通り、年末年始の営業をお休みさせていただきます。新年の営業開始は1月6日(月)です。 年末年始休業:12月28日(土)より1月5日(日)まで な…

教材としての好適性~「問い」の性能評価

どんな問いを授業の軸にするかで生徒が学べるものは異なり、問いの周辺にどんな学習活動を配列するか(=授業をデザインするか)で、獲得できる能力や資質も違ったものになるのは、別稿でも書いた通りです。 別の見方をすれば、様々な問いの一つひとつには、授業デザインの軸にどこまでなり得るものか、資質のようなものがあるということです。その評価を授業者の「感覚」だけに依らずに、ある程度の根拠を持って行えるようになる…

目指すものを正しく共有~協働に向けた土壌づくり

学校評価アンケートの回答データを分析していると、先生方と生徒・保護者、あるいは先生方の間でも「学校が目指す方向」について根っこの捉え方が違っているのではないかと思えてならないことがあります。新時代を見据えて新たに特色ある教育活動を設けているのに、そこへの関心の度合いが三者で大きく違ったり、先生方の間でも分掌や学年などの立場によってコミットの度合いが一様でなかったりするようです。それぞれの立場で思い…