多様性をどう評価するのか

多様性は、主体性、協働性とともに学力の第3要素を構成するものですが、いざ、獲得を図らせ、評価を行おうとすると、いったい何を指しているものかピンと来ないもの。評価の観点を立てるのにも戸惑います。辞書的な意味としては「コミュニティや群の中にいろいろな性質のものが存在して、変化に富んでいること」ということでしょうが、学習を通じて目指すべきところは、個々の生徒が「様々な考えや立場があることを想定/受容した…

面談指導を成功させる#INDEX

2学期が始まって半月です。学校行事が一巡すると、次年度の履修科目選択を控えた2年、進路希望の実現に頑張る3年生を始め、様々な生徒との面談の場が待っていることかと思います。面談指導が成功するかどうかは、落ち着いて面談に臨める時期や環境、先生と生徒との間に構築された信頼関係など、挙げればキリがない様々な要因に左右されますが、面談の本番に臨むに当たり少なくとも、 という2つの要件は満たしておく必要があり…

最適解を示すことより選択の力を養うこと #面談指導

面接指導では、こちらが用意した「正解」を与えることより、対話を通じて生徒の「選択の力」を養うことに注力すべきかと思います。徹底的に調べて考え選び出す中でこそ、情報を集めて評価する力などに加えて、本稿でフォーカスする「選択の力」の獲得も進んでいくはず。選択した結果に向き合う覚悟もより強く持てるのではないでしょうか。岐路に立って選択に迫られた生徒が正解を求めるのに安易に応えてしまうと、生徒は自分で判断…

面談指導を成功させる#4~面談スキル向上への協働

面談指導計画は進路指導部や学年進路といった組織が作成すると思いますが、実施するのは各クラスを担当されるひとりの先生。指導の成否はクラス担任の面談スキルや指導への取り組み方に左右されます。そうしたスキルや姿勢は個々の先生の経験の中で養われることが多いかと思いますが、生徒は先生の経験値が上がるのを待てません。指導機会を経るたびに組織的な効果測定をきちんと行って「優良実践を共有できる仕組み」を校内に整え…

面談指導を成功させる#3~事前アンケートで状況把握

進路面談の前に、面談票を用意して生徒に記入させておくのに加えて、学年でアンケート調査を行うと生徒個々の現状把握が容易になります。全体の集計結果(回答分布)と、個々の生徒の回答を照らし合わせることで、一人ひとりの現状を相対化して捉えることができるためです。指導方針に迷ったときには、進路指導担当者に相談したり、先輩に助言を求めたりすることもできますが、個々の生徒の状況が正確に掴めていなければ相談のしよ…

面談指導を成功させる#2~気づきを整理し記録させる

面談指導は、生徒がそこまで積み上げてきた思考を対話を通じて相対化させ、これから先の行動に課題を設定させる場です。 といった前稿に挙げたポイントに加えて、 ことなどもしっかり意識しておきたいところです。 2014/11/14 に公開した記事を再アップデートしました。 ❏ 持ち越す課題を洗い出し、生徒自身に整理させる どんなに周到に準備して面談に臨んでも、持ち越しの課題を残さず所期の目的のすべてが達成…

面談指導を成功させる#1~事前準備と面談前指導

個人面談は、生徒一人ひとりの進路、学習、生活の悩みや課題を把握、共有し、その解決に向けた支援を行う貴重な指導機会です。面接を指導の要(かなめ)と位置づけ、年間5回以上に及ぶ全員面談を計画に組み込んで組織的な取り組みとしている学校もあります。ただし、面談指導の効果は実施回数に比例するとは限りません。面談に臨むまでに重ねる準備(生徒/教員の双方)が成否を分けます。 2014/11/13 に公開した記事…

目指すところ(目的)の価値を改めて考える

教育に限らず、どんなことであれ、目的とするところを達成するために様々な手段を講じます。当然ながら、手段となる個々の活動に関わる/参加する人々のコミットメントが、目標達成の前提条件です。しかしながら、目的そのものに誰もが納得できる「価値」が見出されていない限り、目標達成への深い関与は期待できません。他者に対してのみならず、自分自身に対しても「それって本当に必要なの?」という疑問に十分答え得る、言葉と…

知りたいから始める探究テーマ選び

総合的な探究の時間での「テーマ選び」は生徒にとっても大きな関門ですが、ご指導に当たられる先生方も、その指導にはお悩みを抱えながら試行錯誤を続けておられる様子が伝わってきます。多くの生徒により意欲的に取り組んでもらいたいとの思いからなのか、生徒それぞれに「興味のあること」からテーマを探させるアプローチが多いようですが、必ずしも上手く機能していないように見えます。上手くいかないケースの多くは、「興味が…

優れた実践にも手札は様々、組み合わせて更なる進化

生徒による授業評価アンケートを利用して、継続的な授業改善(=より良い授業の実現)に取り組んでおられる学校が各地にあります。多くのケースでは、集計結果を用いて、校内に既に存在している優れた実践の所在を探り、そこでの工夫や取り組みを共有することで、改善が遅れた授業でのキャッチアップが進められています。また、高い評価を得ることができた授業における工夫も様々。それらを効果的に組み合わせれば、現状を超える「…

振り返りと行動変容(まとめページ)

21世紀型能力(新課程の具体化に向けた議論の土台)における思考力の構成要素には、「問題解決・発見力・創造力」と「論理的・批判的思考力」に加えて、「メタ認知、適応的学習力」が挙げられています。各教科の学習に限れば、「自分の問題の解き方や学び方を振り返るメタ認知、そこから次に学ぶべきことを探す適応的学習力等」と説明される力ですが、生活や進路などにも拡張すれば、広く「先に控える課題を見据えて、取るべき行…

2学期を目の前に控えて

記録的な猛暑が続いた(まだ続く?)夏でした。それぞれの夏休みを過ごした生徒の、大きく成長した教室での姿を想像しております。8月も残すところ、今日を入れて2日です。既に2学期が始まっている学校も多いようですが、1学期に重ねたご指導の成果を土台に、実りの大きな学びの秋としたいものです。 以下は、2年前にリライトした記事です。学校それぞれに優先課題があろうかと存じますが、この機に改めて取り組みの順序を整…

正しい選択を重ねられる生徒に育てる

どんな場面でも生徒を指導をするときに最終的に目指すのは、「正しい選択を重ねられる生徒に育てる」ことだと思います。これは進路指導に限らず、生活や学習の場面についても言えることだと考えます。正しい選択が行えるようになるには、幾つかの要件を満たす必要がありますが、そのうち最たるものは以下のようなところでしょうか。 1では、必要な情報は何かを特定し、それを効果的に集める力(土台となるのは「読んだり、聞いた…

生徒は「振り返り」を効果的に行えているか

課題や活動に取り組むたびに、そこまでの成果や過程を振り返ることの第一義は、「より良いパフォーマンスを得るのに何をどうするべきか」を生徒一人ひとりが見つけ出すことです。より良い取り組み方を考え出して、それを実践すれば、次の機会で「より納得できる結果」が得られ、科目への自己効力感も高まります。しかしながら、生徒による授業評価アンケートの集計データを見ていると、こうしたメカニズムが十分に機能していない可…

協働場面における個々の生徒の評価をどう行うか

協働で課題解決に生徒が取り組んでいる場面での「個々の生徒の評価」はどうすべきかとのご相談をいただくことが少なくありません。最終的に導き出された答えや発表の内容を、評価基準に当てはめて採点すれば、グループとしての成果(どこまで理解が進み、知識を得たか。思考をどこまで深めたか。表現は効果的で適切かなど)は測れますが、個々のメンバーについての評価には馴染みません。メンバーの組み合わせが変われば、「成果」…

対話の前後に取り組ませる個人ワーク

授業評価アンケートの集計結果を見ていると、教室での対話的な学びはますます充実してきたように感じます。「話し合いなどの協働で、気づきや学びの深まりが得られるか(対話協働)」を尋ねた項目で、回答の9割以上を積極的な肯定が占めるケースもかなり増えています。しかしながら、対話協働の換算得点が上昇しても「授業を受けて学力の向上や自分の進歩を実感できるか(学習効果)」への肯定的回答が占める割合の向上に直結する…

記憶に格納する知識、外部参照する知識 #INDEX

新課程への移行に際し、「学習べき内容は削減せず、その理解の質を高めること」が強く打ちだされていました。従来と同じ指導時間の枠に、思考・判断・表現の各要素を織り込み、主体性・多様性・協働性を身につける場を設けながらも、学習内容は減らさないということです。新課程移行後も、学ばせることの多さが足枷となってか、新しい学力観が求める学ばせ方(=各単元の内容を学ぶ中で、様々な能力や資質の獲得を図る)への転換が…

記憶に格納する知識、外部参照する知識(その2)

脱ゆとり路線を維持しつつ、主体的、対話的で深い学びを実現し、思考力・判断力・表現力とともに主体性・多様性・協働性を獲得させるという課題に、これ以上授業時間を増やす余地がないという状況下で挑むには、「何をどこで学ばせるのか」を戦略的に判断する必要があります。 といった対策を組み合わせることになりますが、3. を実現するカギのひとつが、「記憶に格納する知識と外部参照する知識の線引き」です。 2016/…

記憶に格納する知識、外部参照する知識(その1)

教育の強靭(じん)化に向けてと題する文部科学大臣メッセージが発信されたのは平成28年(2016年)5月のこと。各方面からの「討論や発表などを増やすことが結果的に覚える知識量の減少につながる」という懸念に対して「脱ゆとり」路線の再確認を行う必要がありました。そこでは、「人工知能(AI)の進化など情報化・グローバル化が急激に進展する不透明な時代をたくましく、しなやかに生きていく人材を育てる」という主旨…

夏期休業等のお知らせ

残暑お見舞い申し上げます。連日の猛暑の中、先生方におかれましては、補習や講習、部活動に行事の引率に加え、2学期の準備にもご多忙の日々かと存じます。くれぐれも御身大切にお過ごしください。明日からの盆休みが過ぎれば、2学期も間近です。以下は、以前に起こした記事ですが、何かのご参考になれば光栄に存じます。 さて、夏季休業のお知らせです。当オフィスでは8月11日(金)から16日(水)まで営業をお休みさせて…