予習・復習で何をさせるか~目的に応じたタスクの選定
予習は、授業準備を通じて前回までの授業で学ばせたことを実地に練習させる機会です。せっかく学び方や取り組み方を学ばせたのに生徒自身に行わせず、いつまでも先生が肩代わりしているようでは、生徒はその方法に習熟する機会を得られません。復習にも様々な目的がありますが、当然ながら、「忘れないように習ったことを繰り返す」ことだけがその目的ではありません。より広く視野を持ち、適切な指示と指導ができているか常に振り…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
予習は、授業準備を通じて前回までの授業で学ばせたことを実地に練習させる機会です。せっかく学び方や取り組み方を学ばせたのに生徒自身に行わせず、いつまでも先生が肩代わりしているようでは、生徒はその方法に習熟する機会を得られません。復習にも様々な目的がありますが、当然ながら、「忘れないように習ったことを繰り返す」ことだけがその目的ではありません。より広く視野を持ち、適切な指示と指導ができているか常に振り…
前々稿、前稿で予習と復習でどんなタスクに取り組ませるかを考えましたが、もう一つ重要なことは「いかに履行率を高めるか」です。どんなに明確な目的をもって予復習のタスクをデザインしても、履行してくれないことには効果は得られず、却って様々な弊害を招きます。 2015/04/16 に公開した記事を再アップデートしました。 旧タイトル「予習・復習で何をさせるか(その3)」 ❏ 小テスト頼みで予復習の履行率を上…
予習は「授業で学んだ方法を試して身につける場」と捉えて生徒に課すべきタスクを選択する必要がありますが、復習もまた、単に「習ったことを忘れないように反復する」というだけの場面ではないはずです。 といったところにも復習という活動の目的があります。 2015/04/15 に公開した記事をアップデートしました。 ❏ 習ったことを忘れないようにするには反復+活用 記憶は、記銘、保持、想起という3つの過程から…
新学期の授業開きで生徒に求めた予習や復習への取り組み方を、生徒はどのくらい身につけているでしょうか。また、その指示に従った生徒は学力と学習意欲を(期待通りに)向上させているでしょうか。ノートチェックや小テストで履行を促したところで、「取り組んだことの成果」を生徒が実感できなければ、教える側の思いを押し付けただけになってしまいます。 2015/04/14 に公開した記事を再アップデートしました。 ❏…
いつになく頑張った/上手く行ったと自分では思っていたときに、誰もそれと気づいてくれなかったり、評価してもらうどころか、あら探しやダメ出しをされたりでは、次に向けて頑張る気持ちも萎えそうです。褒めれば伸びるというものでもないと思いますが、正当な評価は生徒の自己肯定感を刺激し、同時に与えられる的確な助言は次の機会に向けた課題形成に繋がり、さらなる頑張りとその結果としてのより良いパフォーマンスを引き出し…
問い掛けには、様々な役割と機能があります。知識や理解を確かめるという基本機能に加えて、問題意識を刺激する、思考や行動を引き出す、着眼点を獲得させる、課題解決のプロセスを共時的に体験させるといった場面でも、問い掛けは大きくその役割を果たしてくれます。学びの場に必要な生徒への働きかけの大半は、問い掛けで実現できるのかもしれません。題意を理解する、解法を考える、多様な立場や取り組み方があることに気づかせ…
生徒自身から問いを引き出す 問い掛けには、生徒に記憶を検索・想起させたり、問題意識を刺激して思考や内省を促したりする機能があります。発想や着眼点を広げさせたり、行動を起こさせたりする場面でも、説明や指示よりも問い掛けの方が効果的なことも少なくありません。(前々稿参照)前稿、前々稿では主に、先生から生徒への問い掛けについて考えてきましたが、教室という学びの場を考えると、生徒から生徒への問い掛けもあれ…
問い掛けにきちんと反応させる仕掛け 前稿の通り、発問を軸にして授業を構成することには、生徒の思考や行動を引き出したり、説明などの情報をしっかり受け止める態勢を取らせたりする効果があり、課題解決のプロセスを共時的に体験させていくにも、発問は重要なガイドになります。cf. 問答を通じて論理性を養うどんな問いを発するかで、生徒が身につける学力がまったく違ったものになるのは、拙稿「どんな問いを立てるかで授…
問い掛けのタイプとその機能 教室で行う発問の役割は、知識の有無や理解の正しさを確認するだけではありません。発問をきっかけに生徒の思考や行動を引き出すことも可能ですし、問いを真似ることで生徒は先生の思考を再現できるようになります。また、問うことで問題意識を刺激しておけば、情報をしっかり受け取る準備も生徒の側で整うというメリットも生まれます。確かな学び、活発な思考と行動、問題意識を持った深い学びが発問…
当たり前のことですが、どの教科の学習指導を行うときも、「基礎」が固まっていない生徒がその先に学びを進めるのは容易ではありません。新しい単元を学ばせようにも、関連する既習単元の内容を理解していない/知識として定着していないのでは、それらを土台とする新たな知を積み上げることはできず、勢い、復習や学び直しに終始しがちです。こうした状況を前に、基礎が身についていない生徒に教えるとき、「わかりやすさ」「ポイ…
生徒にこれまで取り組んできたことの成果や、グループで話し合った結果などを表現させるとき、「評価シート」を用意して、自己評価や相互評価を行わせる場面は、多くの学びの場にあろうかと思います。自己評価は、それまでの自分の取り組みとその成果を振り返り、より良いパフォーマンスを得るのに何が必要かを考え出すための練習。言い換えれば、「メタ認知、適応的学習力」の獲得機会ということです。正しい振り返りができるよう…
個人の練習やグループでの活動の成果を発表させるとき、生徒に自己評価や相互評価を行わせることで、取り組みの成果のたな卸しもできますし、さらに良くなる/良くするための手掛かりも見つけられます。しかしながら、形だけの自己評価/相互評価を繰り返してもその効果は限定的です。効果に繋げるために必要な工夫について考えてみました。 2017/09/11 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 評価をさせることはメ…
教室での学びは集団で行うものですから、そこには生徒と教師が互いに守るべき一定のルールやマナーがあります。一人一人が気の向くまま自由奔放にというわけにはいきません。新年度の授業開きなどで各教科の先生から授業中の約束事を話して聞かせることも多いかと思いますが、生徒はなぜその決まり事があるのかきちんと理解しているでしょうか。 2015/09/18 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ そのルールの存…
現場で頑張る先生方が日々取り組んでおられる「より良い授業の実現」がどれだけスムーズに進み、大きな成果を結ぶかどうかは、管理職からの支援や関与に左右される部分が小さくないと考えます。別稿「授業観察を行うときに押さえるべきところ」でお伝えしたことはもちろんですが、それ以外にも管理職の関与なしには実現が難しい「授業改善を進めるための環境づくり」があります。授業観察を通して見つけた優良実践を校内に伝えるこ…