月: 2023年11月

授業を観てもらう「チャンス」を活かす

授業を改善しようとするとき、他の先生にご自身の授業を観てもらうのは、とても有益です。改善に向けた直接的で効果的なアドバイスをもらえる期待もありますが、それ以上に「異なる見方/考えに触れる中で、これまでの実践を相対化してみる」ことに大きな意味がありそうです。自分では様々な改善を重ね、「これが最善」と思えることを実践していても、気づかずにいることが思わぬところにあったりするもの。そんな点に気づくには、…

授業評価の結果に基づく「改善行動の効果検証」

年末を迎え、今年も授業評価アンケートの集計結果をお届けする時期になりました。1学期に続いて本年度2回目という学校もあれば、昨年の実施から1年ぶりとのケースもありますが、集計結果がお手元に届いたら、まず「授業改善に向けた取り組みの効果検証」をお願いします。前回の結果を踏まえ、先生方はそれぞれに「より良い授業の実現」を目指して様々な工夫を重ねて来られたはず。それが「生徒が備える学習者特性にマッチしてい…

単元を跨いで作る、習ったことを使ってみる機会

授業で学んだことを使って答えを導くべき問いは、学習目標を理解させるために導入フェイズで示すターゲット設問としても、授業を終えるときの学びの仕上げの題材としても大きな役割を果たします。 しかしながら、「個々の授業で学んだこと」を使う機会は、その日の授業(あるいは単元)に閉じた如上の問い/課題以外にも、その後に学ぶ別の単元の中にも設けることができますし、設けるべきです。ある単元で既に学んだ重要なことが…

伝達スキルと授業デザイン

新しい学力観に沿った学ばせ方を実現し、生きる力としての能力や資質を育むためには、獲得した知識や技能を活きて働かせる(=活用する)機会や、対話や協働などの学習活動をきちんと配列した授業デザインが不可欠なのは言うまでもありません。(cf. 活動の配列/授業デザイン)しかしながら、その一方では、伝わりやすい話し方、指示や説明の組み立て、効果的な板書といった「伝達スキル」の完成度が、授業の成否を大きく分け…

副教材、こなしきれていますか?

生徒の進路希望を叶えさせてあげたいとの思いが強くなるほど、「学ばせたい」ことが増えるもの。教科書以外の教材群(副教材やプリント)が「これでもか!」といわんばかりに膨らんでいく傾向があります。目標大学の合格には、これもやらなければ、あっちも削れないと思えてしまいがちですが、その熱意(あるいは不安)に押されて、容量超過を常態化させては、学びに向かう姿勢にも好ましくない影響があります。そもそも、荷物を増…

小テストをもっと効果的に #INDEX

授業で学んだことをしっかり定着させることを意図して行う小テスト。授業で習って、復習で覚えて、テスト用紙に再現して…と、最低3回は対象知識への接触機会が持てますので、再記銘も進みます。また、覚える練習、思い出す練習は、記憶力そのものを鍛えるのにも欠かせません。知識の定着に加え、学習に必要なスキル/能力を得ていることにもなります。(cf. 新しい学びの中で「覚える力」が持つ意義)しかしながら、短時間で…

小テストをもっと効果的に(その2)

小テストは、知識の定着を促すには有効な手段の一つになり得るのは確かです。「思い出す練習」を重ねることは、知識を想起しやすいものに変えていく効果も備えますし、覚える力の向上も図れるでしょう。しかしながら、そうした効果も、生徒が目的意識をしっかり持って小テストに臨み、きちんと覚える努力を重ねてこそ得られるもの。手を抜く生徒にどうやってやる気にさせるかという別の問題もあります。また、小テストへの取り組み…

小テストをもっと効果的に(その1)

授業等で学んだことを定着させるために行う小テスト。授業で習って、復習で覚えて、テスト用紙に再現してと、最低3回は対象知識の記銘機会を作れるだけに、記憶への刻み付けには一定の効果が期待できます。しかしながら、小テストだけではカバーできないことや、頼りすぎることで生じる弊害(副作用)も少なくありません。これらを踏まえて、その効果的な活用を改めて考えてみる必要がありそうです。 2015/02/26 公開…

学ばせ方の転換で、家庭学習の充実が求められる

別稿でも書いた通り、新しい学力観に沿って、学ばせ方や授業デザインの転換が図られる中、予習や復習、宿題などの授業外課題の位置づけやそれらへの取り組ませ方も自ずと変わってくるはずです。教室の中でしかできないこと(対話や協働を始めとする様々な活動)と生徒が個々に取り組む学習活動でできることの間に明確な線を引くことは「新課程が求める学び」に近づくための大前提ではないでしょうか。 教室での対話を通じて学びを…

活動を配列するときに考えるべきこと #INDEX

主体的・対話的で深い学びの視点での授業改善が図られる中、各地で授業を拝見していても実に様々な活動が授業の中に組み込まれています。途切れることなく配列されたアクティビティに、生徒がノンストップで取り組んでいる光景もすでに珍しいものではありません。しかし、多彩なアクティビティの中で生徒同士の対話が増え、活動性が高まっても、それが主体的で深い学びになっているかどうかは、また別の話ではないでしょうか。学習…

活動を配列するときに考えるべきこと(その4)

個人で取り組ませる活動、教室外に設ける活動 授業内外に配列する学習活動には様々なものがありますが、いくつかの分類軸を設けてみると整理がつきやすく、すべての活動について配列上の考慮を十分に巡らせているかの点検に抜け落ちを減らせます。ひとつめは「個人で行うか、ペアやグループで行うか」での分類です。個々に行う活動というと、練習や問題演習がすぐに思い浮かびますが、教科書や資料を読むことにも、基礎力(言語、…

活動を配列するときに考えるべきこと(その3)

活動を通じて目指すはコンピテンシーの増大 授業内にアクティビティ(活動)をどのように配列するかを考えるときには、その前に「できるようにさせたいこと」(到達目標)をはっきりさせておくことが大切です。ここでの到達目標には、学習内容の理解だけではなく、内容(コンテンツ)を学ぶことで獲得する能力や資質(コンピテンシー)、加えて学びの姿勢と方法なども含まれるはずです。目標をしっかり見据えて、その達成に必要な…

活動を配列するときに考えるべきこと(その2)

チェックポイントを意識した練習や作業 授業中に配列する活動は、くれぐれも自己目的化させないようにしたいもの。漫然と活動したところで成果は大きくならず、目的を達成できたとの実感を得なければ次へのモチベーションも生まれません。活動の一つひとつに目的意識を持ち込ませるというのは、「できるようになること/気を付けるべきこと(チェックポイント)」をあらかじめ生徒にしっかりと認識させることにほかなりません。チ…

活動を配列するときに考えるべきこと(その1)

活動の一つひとつに目的を持たせる 主体的・対話的で深い学びの視点での授業改善が図られる中、各地での授業を拝見していても様々な活動が授業の中に組み込まれるようになりました。途切れることなく配列されたアクティビティにノンストップで生徒が取り組んでいる光景もすでに珍しいものではありません。しかし、活動性が十分に高まっていても、それが主体的な学びになっているか、深い学びになっているかはまた別の話のようにも…

目次を使って"全体像"を捉えさせる

単元ごとに学んできて、それまで個々バラバラの知識にしか感じられなかったものが、何かのきっかけ(重ね塗りによる復習もその一つ)で互いの関係性が掴め、「統合感」のようなものを得ることがあります。統合された各単元が描き出す科目の全体像が見えることで、背景や奥行きにも認識が届き、より深い学びも生まれますし、その科目を「得意」と感じるようになるきっかけとなることも多々あります。 2017/05/09 公開の…

復習は間隔をおいた"重ね塗り"で(その2)

授業で形成した理解や獲得させた知識の定着を図りたいなら、間隔を空けて薄く幾重にも重ね塗りしていくことが大切です。前稿では、 という3回目までの再記銘(加えて、理解の深化と学びの拡張)の機会について触れましたが、本日は、もう少し間隔の大きなサイクルでの再記銘(重ね塗り)について考えます。 2017/11/22 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 単元を終えるときに作るプレゼンテーション 単元を終…

復習は間隔をおいた"重ね塗り"で(その1)

理解したことを記憶に定着させようとするときには、間隔を空けて幾度も「薄く塗り重ねていく」のが好適です。短い期間で一気に厚塗りをしようとしても、狙い通りには行かないものと心得ましょう。授業や副教材で学ばせたことを小テストで確認し、覚えていなかったら再テストまでして定着させたつもりなのに、定期考査で同じ範囲から再出題してみたら期待を下回る結果という経験はないでしょうか。忘却曲線を引き合いに出すまでもな…

学ぶ理由/自立した学習者

1 学び続けられる生徒を育てる 1.1 自ら学び続けられる生徒を育てる ・学習方策の獲得はどこまで進んでいるか ・目的意識をもって学びに取り組んでいるか ・生徒の興味・関心をどこまで育めたか1.2 全教科でコミットすべき能力・資質の涵養 ★ ・教科固有の知識・技能を学ぶ中で1.3 認知の網の広げ方~5教科7科目をきちんと学ばせる ★ ・5教科7科目に挑ませることの意味1.4 学びに向かう力/主体的…