その他のテーマ

業務の無駄を省く~現場レベルで可能なコストカット

先生方の多忙は日常化しており、校務の削減と効率化は先送りできない課題の一つです。多忙の原因には、制度の更新を必要とする構造的なものと現場レベルでの仕事の進め方で解消を図り得るものとがあります。構造的な問題の改善を急がなければならないのは当然として、同時に、日々の教育活動に改善の余地がないかを洗い出し、ひとつひとつ片づけていきたいところです。制度変更で構造的な問題に解決の筋道がついたとしても、日々の…

その他のテーマ(記事まとめ)

1 働き方改革を進めるときに押さえるべきこと 1.0 働き方改革~校務の見直しと再構造化(序)1.1 業務の無駄を省く~現場レベルで可能なコストカット1.2 先生方の多忙解消に~個々の教育活動の価値見直し1.3 優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか1.4 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)1.5 学びの重なりを上手に利用したコンパクトな学校経営1.6 行事にじっくり向き合…

最初の定期考査を前に~中間検証と今後の計画

新学期が始まってひと月半くらいでしょうか。そろそろ本年度最初の定期考査の時期に掛かります。このタイミングで注力すべきは、年度当初に描いていた指導目標が達成に向かっているかどうかの点検です。生徒の学習行動についてなら、学習を中心とする生活のリズムを確立できているか、各科目の学び方に習熟してきているか、といったところをしっかりと観察するところからだと思います。学校(あるいは学年)の指導計画についても、…

記事まとめ(大学編~より良い学びの実現へ)

中高同様、大学の授業でも「何をどのように教えるか」に加えて「学生の学びをどのように支えるか」が問われています。授業評価アンケートの質問群も、以前の「わかりやすさ」「面白さ、役立つ度合い」から、学生による学びへの取り組みに焦点を当てる設計になってきました。例えば、「学んだことをもとに課題の解決法を考える機会」「周囲とのやり取りで得る気づき」がどのくらいあるかを尋ねる項目や「自分なりの目的をもって学び…

指導場面でのAIの利活用(記事まとめ)

AIの活用というと、「学習指導における個別最適化」に関心が集まりますが、探究活動や進路の指導でも、個に合わせた対応での「時間やリソースの制約」にはAIを積極的に活用していく必要がありそうです。各地の学校での取り組みを通して学ばせていただいたこと、そこで考えたことなどを折に触れておこしてきたブログ記事を、関連記事も含めてまとめてみました。お時間の許すときにご高覧いただければ幸甚です。 2025/03…

AIの時代にこそ教室で育むべき「知情意」

科学技術の進歩は、「個人ができること」を大きく拡張しました。AIを上手に使えば、調査や企画、創造といった知的活動が「頭の中」だけで行っていたときをはるかにしのぐ水準で、簡単にできてしまいます。映像や文章を起こすのだって容易。その成果をSNSを介して発信するなどで、AIが拡張した力を広く届かせることができてしまいます。できることが増えた分、その力の使い方には注意深くなる必要があります。物騒なたとえで…

AIが人間に対して”不信感”を抱く?

ある研究でAIが人間に対して不信感を抱いている可能性が示唆されました。実際には「与えられた質問に対して、人間をあまり信頼していないかのような応答を返す傾向が見られる」ということですが、仕組みを知るとその背後には、生徒に利活用を学ばせるときに踏まえておかなかければならない問題が見えてきます。「便利な使い方」を学ばせるだけでは足りない部分がたくさんあります。

自らの工夫で得た成功体験は、学びの楽しさに

授業を終えて生徒から「楽しかった」「感動があった」という声が寄せられると、教える立場として大きな励みになります。そうした声の背後には、次の学びに向かうモチベーションの膨らみも想像できます。学習における感動や楽しさには、その生まれ方によって大きく二つのタイプに分けられるように思います。強いて言葉を当てるなら、一方は、授業者や教材によって「外から与えられるもの」、他方は、学習者自身の「内から芽生えるも…

教育のデジタル化~しっかり考え、正しくかじ取り

先日、新聞である記事を読みました。​内容は、デジタル導入の教育先進国で成績低下や心身の不調が顕在化しているというもの。フィンランドでは紙の教科書復活を「歓迎」する動きがあるとのことです。デジタル教科書の普及が進む中、これまで難しかったこと(例えば学びの個別最適化など)にも可能性が広がっていますが、「使えて便利」と飛びつくだけでは、気づかないところに歪みを作るリスクもあります。教育的な目的(=どんな…

モチベーション理論を授業にどう活かす?

たまたまですが、去年あたりから、学習意欲の向上を図るのに有効な指導法はないかといったご相談を受けることが続きました。改めて問われると不勉強を自覚せざるを得ず、もう一度勉強を始めたところです。あくまでも「勉強の途上における、自分向けのメモ程度のもの」として、温かい目でお付き合いをいただければ幸甚に存じます。 ❏ まずは、広く知られた「モチベーション理論」を概観 代表的な「モチベーション理論」と言えば…

メッセージは意図通りに伝わっているか

指導の中で大切なことを伝えたのに、思うような反応や言動が見て取れず、本当に伝わったのか不安になることはないでしょうか。なぜそれが大切なのか理由まで掘り下げて説明したのに、ピンときていない様子を見ると、もどかしく感じますが、手をこまねくわけにはいきません。まずは、伝えた内容を生徒がどう受け止めているかを確かめましょう。方法には「生徒に考えていることを言語化させる」「指導後の生徒の言動に、期待した変化…

AIで深める自己理解~志望理由書作成での活用例

教育現場に限らず、AIを活用するのはもはや「日常」でしょう。仕事の相棒として欠かせない存在という先生方も多いかと思います。過日の拙稿「次期学習指導要領に向けて~教育へのAI利活用」でも触れましたが、教育現場での活用シーンはこれからもどんどん増えそうです。教科学習指導以外にも、「個別化」が必要な場面では、AIの積極的な活用を進めたいところ。進路指導の場でもAIを活用するケースが増えているようです。特…

新年度に向けた準備工程の進捗確認と計画調整

2月も中旬を迎え、入試業務や受験生指導などでご多忙を極める日々と存じますが、新年度を迎えるための準備も佳境に差し掛かっています。新しいことを始めるにしても、これまでのものに手を入れるにしても、残り8週ほどで計画を整えるためには、見落としがないかを確認し、このタイミングで「進捗の中間検証」を行うことが重要です。どんな指導でも、計画が設計通りに機能するかどうかは、対象たる生徒の実情と、計画時に想定した…

次期学習指導要領に向けて~教育へのAI利活用

昨年12月25日に中教審で、学習指導要領の改訂に向けた検討が諮問されました。検討課題のひとつが「生成AIの発展などを踏まえた、知識の集積だけではない、深い意味の理解を促す学びのあり方」です。翌26日に公開された「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」(外部リンクでPDFが開きます)の内容も併せて、これからの学ばせ方の方向性を探ってみたいと思います。 ❏ ガイドラインの内容は…

ネットで検索した結果を鵜呑みにさせない

今や、世の中の大抵のことは、スマホで検索すれば即座に「それらしい情報」に行き当たり、「答えらしきもの」が簡単に得られます。たいへん便利な社会ですが、ネットに限らず世に飛び交う情報はまさに玉石混交。ときに悪意のフェイクすら入り混じります。鵜呑みにしては選択を誤り、不要なリスクを引き寄せることになります。先ずは耳目に入ってくる情報の真偽を確かめる必要がありますが、その姿勢と方法を学ばせる場もまた、生徒…

体験のたびに感じたことをしっかり考え、言語化&記録

日々の学校生活の中では、生徒は様々なことを感じたり気づいたりしていますが、それを漠然とした感想にとどめず、少し立ち止まって考えを深めさせるとともに、言語化し記録に残すことを習慣にさせましょう。先生方とのやり取りや周囲との会話、あるいは授業で読んだ資料など、生徒が受ける「成長のための刺激」は学校生活を送る中のあらゆる場面に存在していますが、それらをもとに熟慮する機会がなければ、気づきや学びは深まりま…

AIの時代だからこそ「問いを立てる力」

AIは、以前から身近なところでも活用されており、生活を便利にしてくれていますが、知的作業の道具(相棒?)としての存在感を強めたのは、ChatGPTの登場(2022年11月)を機にでしょう。以来、学習の場でも、生徒や学生が物事を調べたり、考えたりするのに使って当然、なくてはならない道具としての立場を手に入れました。こうした技術の進歩と道具の変化の中で、生徒や学生(に限らず、社会人も含むあらゆる立場の…

働き方改革~校務の見直しと再構造化(記事まとめ)

学校の先生の多忙が取りざたされて久しくなりました。報道を見ても、現場でのご様子を拝見しても、「働き方改革」は依然として、待ったなしの課題。ドラスティックな改善は進んでいないようにも感じます。外にいる私が直接何かできるわけでもないことに心苦しさを感じつつ、何かのヒントになればと思い、考えるところを拙稿に起こしました。ご多忙を極める中、矛盾することを申し上げることになり、誠に恐縮ですが、お時間のあると…

前向きな気持ちで高校生活をスタートさせる

入試シーズンも後半戦に入り、新入生を迎えるのも間もなくです。4月の教室に集まるのは、第一志望を貫き、その実現に努力を重ねてきた生徒が多いと拝察いたしますが、中には第一志望だった別の学校で不合格だったために入学して来る生徒や、成績が伸びないなどの理由で出願前に志望を切り下げてしまっていた生徒もいるかと思います。第一志望以外での入学でも、きちんと気持ちを切り替え、前向きになっているなら問題ありませんが…

新年度を迎えるに当たり~まとめページ(2024年度版)

立春を前に、入試を始めとする新入生を迎え入れるための準備、次年度の指導や年間行事の計画作りと調整、異動等に伴う引継ぎなど、定常期と異なる業務も加わり、いつにも増してのご多忙と拝察いたします。多忙な時だからこそ、やるべきことをきちんとリストアップして、優先順位の高いものからしっかり/漏れなく進めたいところです。新年度に向けた準備工程の進捗確認と計画調整も適切なタイミングで怠りなく!これまで起こしてき…