教科書をコスパよく使う~適切な問いの付与
授業デザインを考えるときに最も重要なのは「どんな問いを立てるか」であると考えます。教科書という「食材」もそのままかじったのでは、美味しく調いません。そもそも、生のままではお腹をこわすかも…教科書に範囲を設けて適切な問いを立てれば、情報を集め、知に編むのにも軸が持て、調べる/考える/話し合うなどの行動も活性化します。さらにその「問い」が、生徒にとって自分事、答えを出すべき問題と認識できるものなら、「…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
授業デザインを考えるときに最も重要なのは「どんな問いを立てるか」であると考えます。教科書という「食材」もそのままかじったのでは、美味しく調いません。そもそも、生のままではお腹をこわすかも…教科書に範囲を設けて適切な問いを立てれば、情報を集め、知に編むのにも軸が持て、調べる/考える/話し合うなどの行動も活性化します。さらにその「問い」が、生徒にとって自分事、答えを出すべき問題と認識できるものなら、「…
1 働き方改革を進めるときに押さえるべきこと 1.0 働き方改革~校務の見直しと再構造化(序)1.1 業務の無駄を省く~現場レベルで可能なコストカット1.2 先生方の多忙解消に~個々の教育活動の価値見直し1.3 優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか1.4 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)1.5 学びの重なりを上手に利用したコンパクトな学校経営1.6 行事にじっくり向き合…
社会に出ると、純粋な記憶力が問われるシーンはそれほど多くはないと思います。急速な発達を続けるデジタルツールは、様々な情報処理に加えて「記憶」も代行してくれます。膨大なデータを保持する能力は言うに及ばず、AIはそれらを用いた予測や推量の力も得ました。となると、覚えることはすべて機械に任せて、人はクリエイティブな知的活動にエネルギーを使いましょうという話になりそうですが、ことはそう簡単ではありません。…
秋は「実りの季節」ですが、9月に始まる学校の2学期もまた、生徒が様々なことにチャレンジする中でこれまでに重ねてきたことを「結実」させる大切な局面であるのは言うまでもありません。3年生は進路希望の実現に挑み、2年生は進路選択という大きな分岐に臨みます。1年生も4月の入学から高校生として積み重ねてきたものを振り返り、これからの自分の行動にしっかり方向を持てるかどうかで、残り2年半の実りが大きく変わって…
早いもので新年度を迎えて約3か月。夏休みも間もなくですが、年度の当初から取り組んできたことがどれだけ成果を上げているかを点検し、秋からの指導に見通しを立て直して、準備を進める重要な時期です。教科担当者として、ホームルーム担任として、あるいは分掌の立場で、それぞれに振り返るべき点があろうかと思います。また、管理職の視点からも学校全体の動きを俯瞰し直してみる必要があるはずです。また、授業改善を確実に進…
学期が終わりに近づいたこのタイミングで確認しておくべきことの一つは「新学期に生徒に伝えたメッセージを生徒がどこまで消化し、自分のものとして習慣化できているか」です。別稿の「やりきらずに放置してきたことを仕上げさせる」と共に、この時期の指導の主眼でしょう。新学期が始まるとき、教科担当者として、あるいはホームルーム担任として、生徒に様々な期待(獲得して欲しい能力や資質、深く考えてもらいたいこと、習慣に…
先生方の多忙は日常化しており、校務の削減と効率化は先送りできない課題の一つです。多忙の原因には、制度の更新を必要とする構造的なものと現場レベルでの仕事の進め方で解消を図り得るものとがあります。構造的な問題の改善を急がなければならないのは当然として、同時に、日々の教育活動に改善の余地がないかを洗い出し、ひとつひとつ片づけていきたいところです。制度変更で構造的な問題に解決の筋道がついたとしても、日々の…
新学期が始まってひと月半くらいでしょうか。そろそろ本年度最初の定期考査の時期に掛かります。このタイミングで注力すべきは、年度当初に描いていた指導目標が達成に向かっているかどうかの点検です。生徒の学習行動についてなら、学習を中心とする生活のリズムを確立できているか、各科目の学び方に習熟してきているか、といったところをしっかりと観察するところからだと思います。学校(あるいは学年)の指導計画についても、…
中高同様、大学の授業でも「何をどのように教えるか」に加えて「学生の学びをどのように支えるか」が問われています。授業評価アンケートの質問群も、以前の「わかりやすさ」「面白さ、役立つ度合い」から、学生による学びへの取り組みに焦点を当てる設計になってきました。例えば、「学んだことをもとに課題の解決法を考える機会」「周囲とのやり取りで得る気づき」がどのくらいあるかを尋ねる項目や「自分なりの目的をもって学び…
AIの活用というと、「学習指導における個別最適化」に関心が集まりますが、探究活動や進路の指導でも、個に合わせた対応での「時間やリソースの制約」にはAIを積極的に活用していく必要がありそうです。各地の学校での取り組みを通して学ばせていただいたこと、そこで考えたことなどを折に触れておこしてきたブログ記事を、関連記事も含めてまとめてみました。お時間の許すときにご高覧いただければ幸甚です。 2025/03…
科学技術の進歩は、「個人ができること」を大きく拡張しました。AIを上手に使えば、調査や企画、創造といった知的活動が「頭の中」だけで行っていたときをはるかにしのぐ水準で、簡単にできてしまいます。映像や文章を起こすのだって容易。その成果をSNSを介して発信するなどで、AIが拡張した力を広く届かせることができてしまいます。できることが増えた分、その力の使い方には注意深くなる必要があります。物騒なたとえで…
ある研究でAIが人間に対して不信感を抱いている可能性が示唆されました。実際には「与えられた質問に対して、人間をあまり信頼していないかのような応答を返す傾向が見られる」ということですが、仕組みを知るとその背後には、生徒に利活用を学ばせるときに踏まえておかなかければならない問題が見えてきます。「便利な使い方」を学ばせるだけでは足りない部分がたくさんあります。
授業を終えて生徒から「楽しかった」「感動があった」という声が寄せられると、教える立場として大きな励みになります。そうした声の背後には、次の学びに向かうモチベーションの膨らみも想像できます。学習における感動や楽しさには、その生まれ方によって大きく二つのタイプに分けられるように思います。強いて言葉を当てるなら、一方は、授業者や教材によって「外から与えられるもの」、他方は、学習者自身の「内から芽生えるも…
たまたまですが、去年あたりから、学習意欲の向上を図るのに有効な指導法はないかといったご相談を受けることが続きました。改めて問われると不勉強を自覚せざるを得ず、もう一度勉強を始めたところです。あくまでも「勉強の途上における、自分向けのメモ程度のもの」として、温かい目でお付き合いをいただければ幸甚に存じます。 ❏ まずは、広く知られた「モチベーション理論」を概観 代表的な「モチベーション理論」と言えば…
指導の中で大切なことを伝えたのに、思うような反応や言動が見て取れず、本当に伝わったのか不安になることはないでしょうか。なぜそれが大切なのか理由まで掘り下げて説明したのに、ピンときていない様子を見ると、もどかしく感じますが、手をこまねくわけにはいきません。まずは、伝えた内容を生徒がどう受け止めているかを確かめましょう。方法には「生徒に考えていることを言語化させる」「指導後の生徒の言動に、期待した変化…
2月も中旬を迎え、入試業務や受験生指導などでご多忙を極める日々と存じますが、新年度を迎えるための準備も佳境に差し掛かっています。新しいことを始めるにしても、これまでのものに手を入れるにしても、残り8週ほどで計画を整えるためには、見落としがないかを確認し、このタイミングで「進捗の中間検証」を行うことが重要です。どんな指導でも、計画が設計通りに機能するかどうかは、対象たる生徒の実情と、計画時に想定した…