評価、効果測定・成果検証

新課程の下での指導を振り返る(ゼロ学期のスタート)

さて、高校で新課程の下での学習指導が始まり9カ月が経過しました。獲得を目指すべき学力像が新しくなった中、現場で頑張る先生方は様々な工夫を重ねて来られたことと拝察いたします。この間に得られた成果と課題が、4月に始まる新しい年度の指導に活かされてこそ、学校全体での教育活動はより良いものに進化する(=より多くの生徒がより良い指導の恩恵に預かる)ことができます。 ❏ 先ずは、ここまでの指導の効果をきちんと…

新年度に向けて、最終結果と照らした指導の成果検証

早いもので今年も師走を迎えました。3月まで本年度の指導が続きますが、ゼロ学期からは次年度に向けた計画作りも本格化します。年明け早々には、大学入学共通テストの結果も出ますし、最終的な出願校も決まっていきます。3ヵ年/6ヵ年に亘って行ってきた学習指導と進路指導の成果を測るのに必要な指標がすべて揃うことになります。一般選抜の合否結果はまだ先ですが、それを待っていては来年度の指導計画にこれまでの指導を振り…

探究型学習(課題研究等)の成果をどう測るか

課題研究などの探究型学習に限ったことではありませんが、何かに取り組ませたら、その成果と過程(取り組み)をきちんと評価をする必要があるのは言うまでもありません。できるようになったことを「たな卸し」することで生徒に自らの成長を自覚させるとともに、これまでの取り組みに足りなかったものに気づかせ、「この先、何にどう取り組んでいけば良いか」を考えさせる/展望を立てさせることが評価を行うことの第一の目的です。…

大きな成果が出た時にこそ~実践の共有と継承

進学実績にしろ、模擬試験や外部検定の成績にしろ、あるいは授業評価や学校評価のアンケートにしろ、成果が出たときの行動こそが重要だと思います。結果を受けた振り返りというと、どうしても課題/反省点の洗い出しに意識が向きがちですが、成果をあげた好適な取り組みにも、しっかりとスポットライトを当てましょう。失敗に原因があるのと同様に、成功にもそれをもたらした要因があります。それをきちんと分析的に捉え、共有と継…

新たな取り組みを始めるときの鉄則

学校に限ったことではありませんが、新しいこと(学校なら、教科・科目の新設、授業デザインの更新、新しい評価方法の導入など)にチャレンジしようとするときには、きちんと踏んでおきたい「手順」というものがあります。目的とするところの確認や、その達成に必要な事柄の洗い出しもそこそこに、思いつくまま拙速に走り始めては「成果」は不確かなはずです。成果検証の方法も考えておかないと「やりっぱなし」になりがち。次の指…

指導目標の達成を確かなものに~数値を用いた効果測定

学力の三要素は「知識・技能」「思考⼒・判断⼒・表現⼒」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」ですが、教科学習指導を通してこれらを着実に育んでいくために、きちんと行わなければならないのは「指導の効果測定」です。効果があるはずと見込んで行った指導も、本当に狙った効果があったのかを確かめないことには、試行錯誤に生徒を巻き込んでしまいますし、生徒の状況を瞬間ごとにきちんと…

考査問題に使う初見材料をどこから調達するか

新課程への移行で、獲得させた知識・技能が「生きて働いているか」を確かめる必要性が高まりました。教室で学ばせたことをしっかり記憶し答案上に再現すれば丸がもらえる問題だけでは、その要件を満たせず、初見の材料(本文や資料)で作られた問題を前に、どの道具(知識や技能)を使い、どのように答えを作るかを考えさせることになります。従来通りの定期考査ならば、その材料は教科書や副教材に求めるだけで十分でしたが、今後…

探究活動と進路指導でポートフォリオに残すログ

学習の記録(成果のみならず、どのような体験をしたか、そこでどんな考え/内省をもったか)を残していくポートフォリオは、生徒が自分の学習をコントロールする「メタ認知」を養うことを意図して作成するものですが、残されたログは様々な場面で活用されることになります。生徒の指導に様々な立場から関わる先生方が、「ポートフォリオに残されたログをどう活用するのか、そのためにどんなログをどんな形で残すべきか」をしっかり…

副作用を抑え、効能を最大化するルーブリック評価の運用

ここで改めて申し上げるまでもありませんが、新課程への移行に伴って「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点での学習評価が行われるようになります。文科省が示した指導要録(参考様式)にも、各教科・科目の観点別学習状況を記載する欄が設置されています。指導要録に、評定とともに観点別学習状況が「AAA」といった具合に記録として残る以上、評価結果に対する説明責任は、これまで以上に…

4月の授業開きを思い出して~夏を迎える準備

学期が終わりに近づいたこのタイミングでしっかりやっておきたいことの一つは、新学期に生徒に伝えたメッセージがどこまで生徒の中で消化され、自分のものとして習慣化/確立しているか確かめることです。新学期が始まる時に、教科担当者として、ホームルーム担任として、生徒には様々な期待(身につけて欲しい能力や資質、考えて欲しいこと、取れるようになって欲しい行動など)を伝えたことと思いますが、どんなことを求めたのか…

指導目標と指導方法が変わったら定期考査の問題も

教科学習指導に限ったことではありませんが、「目標とするところ」と「目標に到達するための方法や計画」の間には高い整合性が必要です。両者の間のズレを放置しては、目標が達成される見込みも立ちません。同時に、指導がどこまで成果を得たかを測定する評価方法も、学習目標にマッチしたものである必要があります。目標までの距離を正確に測れないことには、どうやって接近するか作戦も立てられないからです。新課程への移行で教…

指導計画は所期の効果を得ているか~中間検証の準備

新学期が始まって数週間が経過し、学校もようやく平常運転と思っていたところに、緊急事態宣言の発出などで分散登校やオンライン授業への切り替えを余儀なくされている地域もあります。本年度の教育活動にも年度末の段階で計画した通りに進めるのが難しい部分が出てきているのではないかと思い、各地の学校のご様子をお伺いしてみると、計画に多少の変更はあっても、様々な工夫を凝らしたことで、成果が期待できる状況にあるとのお…

効果測定は、理解者と賛同者を増やすため

以前の記事「 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)」 をお読みいただいた先生から、「効果測定や成果検証の必要性は十分にわかっているが、作業が増えることに負担感もあり、どうしても二の足を踏んでしまう」とのご感想を頂戴しました。確かに、指導の効果測定を行うには相応の手間がかかります。「足し算だけのビルド&ビルドから抜け出そう」との文脈なのに、そこに無駄な作業を新たに作るようでは、何を目指…

教育手法開発・指導法改善に向けた計画作りは万全?

いよいよ新年度が目の前です。既に新年度の指導体制は整って、生徒向けの指導は年間での計画もほぼ固まっているものと拝察いたしますが、もう一つ計画をしっかり立てておきたいのは、個々の教育活動の成果をどう測りながら、教育手法を開発や指導法の改善を進めていくかです。新課程への移行に伴い、様々な新しい取り組みが始まっている中、万が一にも「やりっぱなし」になってしまっては試行錯誤に生徒を巻き込むばかりですし、先…

教育目標から自己点検に用いる評価規準への書き出し

建学の精神や教育理念のもとで各学校は教育目標を定め、その達成のために教育活動を行っていますが、学校評価アンケートなどで生徒に「教育目標に掲げられた『目指すべき人物像』に近づけているか/近づけそうか」と聞いてみると、なかなか力強い答えが返ってきません。教育目標は「ただ掲げているもの」ではないはずですし、その達成には先生方のみならず、生徒自身にもコミットメントが期待されるところではないでしょうか。たい…

正答率の予測ができれば授業設計も最適化

正答率を正しく予想できるということは、問題が要求する様々な学力に照らした「生徒の状況把握」が正確に行えているということです。教科学習指導は、目標学力と生徒の現況学力との差を埋めるための行為であり、正答率の予測精度(=現況学力を正しく把握しているか)は、指導設計の妥当性に大きく影響を与えます。様々な場面で実際に予測を行ってみて、ご自身の予測力を常に点検するとともに、精度の向上を図る努力も怠らないよう…

カリキュラム・マネジメントの実行&検証フェイズ

カリキュラム・マネジメントという言葉が広く使われるようになってだいぶ経ちますが、マネジメントとは言うまでもなく「目標を達成する/成果を上げる」ためのものであり、計画、実行、検証、対処(いわゆるPDCA)で構成される活動です。カリキュラムを通して形成しようとしている学力が変化した以上、計画フェイズに当たるカリキュラムの作成には従来と違った発想が求められるのは、前稿で申し上げた通りですが、実行や検証の…

日々のチェックで授業デザインのブラッシュアップ

臨時休校、分散登校、短縮授業と、授業日数・指導時間の確保を困難にする要因がズラリと並ぶ中、日々の授業をより効率的で密度の高いものにするには教室の対面授業で行う学習活動を精選する必要があります。 ターゲットとなる問いを設定することは本時の主眼や指導の目標を明らかにするとともに、個人で出来ることと教室で行うべきことの選別にも有益であるというのが、昨日の記事の主旨でした。 そうしてデザインした授業の一つ…

新しい評価の実行可能性を高めるための工夫

新しい学力観への転換が図られる中で、学習指導の方法の工夫と開発が進んできました。新たな指導法を開発・発見すると、すぐに教室で試してみたくなりますが、ぐっと立ち止まって「評価はどうする?」と自問してみましょう。ここに来て、学習評価の改善も本格化な取り組みを始めた学校も少なからず見受けられるようになってきました。学習の「結果」と「プロセス」の双方について「到達点」と「変化量」を視点に把握する必要がある…

最初の答えと作り直した答えの差分=学びの成果

何らかの課題や問いを与えて生徒に取り組ませるとき、生徒が最初に作った答え(=単元やテーマを学ぶ前の段階で考え出せたこと)を保存しておき、それを学び終えて仕上げた答えと比べてみると、両者の違いに着目することで学びの成果を確認・可視化できるようになります。たとえ、答えに行きつかなかったとしても、書きかけの答案や題意を図に起こそうとしたときの痕跡もあるはずです。それをノートやワークシートから消してしまわ…