苦手意識が膨らんでしまったら(後編)
苦手意識が膨らんでしまった(=学びに自己効力感を持てなくなった)生徒には、様々な方法を組み合わせて「自信回復」に導く必要がありますが、確実に行うべきは、前編で触れた「既習内容の確認」でしょう。苦手意識を抱えるようになると、自ずと学びは消極的になり、これまで学んだ内容の理解も浅く、定着も不完全になっているもの。それを土台に次の学びを積み上げようとしても、不確かな足場に思い通りに歩を進められません。そ…
苦手意識が膨らんでしまったら(前編)
苦手意識を抱えている(科目学習への自己効力感に欠ける)場合、授業への消極的な取り組みを続けてきた結果として、これまでに学んできたことへの習熟が不十分になっているのは容易に想定されるところです。 そのまま単元を進めてしまっては、その後の学習目標をクリアしていくのは加速度的に難しくなり、問題は解決から遠のくばかりです。 実際に、授業評価アンケートの結果を見ていると、前学期/前年度に苦手意識が膨らんでい…
事前フォームで進路面談への準備を整えさせる
秋には、生徒が様々な「選択」の場に臨みます。1年生は2年からの履修科目群、2年生は進路希望の具体化の中での志望学部、3年生は出願する先を決める中で、先生方との面談は非常に大きな意味を持ちます。それぞれが、進路学習を通して得た情報を消化し、自分事として解釈していかなければなりませんが、刺激を上手に消化するには、信頼出来る相手との相談も欠かせないもの。当座の正解を見つけるだけでなく、正しい選択をする方…
違和感は思考[探究]の入り口(まとめ)
授業改善での協働のあり方
予習・復習、課題のあり方
1 予習・復習で何をさせるか~目的とタスクのデザイン 1.1 予復習に課すタスクで”教室の学び”を最適化 ★1.2 予習の目的と課すべきタスクの考え方 ・次回の予習ができる状態を作って授業を終える1.3 復習の目的と課すべきタスクの考え方 ・復習は間隔をおいた”重ね塗り”で(前・後編)1.4 予復習のデザインに加えて、履行率を高める工夫を1.5 学ばせ方の転換で、家庭学習の…
思考や判断の力の要求水準で難易度の調整(実技)
生徒による授業評価アンケートでは、講義座学系のみならず、実技実習系の授業でも「難易度」についての生徒の認識を質す項目を置きます。適切な負荷(背伸びをして到達できるくらいの要求水準)がないと、頑張る意欲も十分に刺激できませんし、楽々とクリアできるタスクばかりでは、振り返りを行っても、より良いパフォーマンスを得るのに必要なことを特定する、課題形成(判断)の材料が揃わなくなりがちです。この難易度ですが、…
ノート持ち込み可の定期考査がもたらすもの
この記事を最初に公開した2日前、朝日新聞に「変わる、定期テスト ノート持ち込みOK・単元テストに変更~大学入試改革にらむ」という記事が掲載されました。この記事は現在閲覧できませんが、約一年後には日経新聞でも「変わる定期テスト 主体的に学ぶ力引き出す」という記事が「ノート持ち込み可、思考力を問う/単元ごとに切り替え、脱一夜漬け」との副題を添えて掲載されていました。 2019/11/29 公開の記事を…
情報を集めて編む作業で知識獲得の方法を学ぶ(その2)
情報を集めて編む作業で知識獲得の方法を学ぶ(その1)
生徒に一定の知識や理解を獲得させようとするときに、昔から最もよく用いられているのは「話して聞かせてわからせる」という方法だと思いますが、それだけでは、相手(学習者)は自ら学ぶ力、知識を獲得するすべを身につけられません。教科固有の知識・理解を獲得させるときには、それらを獲得する方法を身につけられる学習活動に取り組ませるとともに、その成果を確かめていく(評価する)ことにも十分に意識を向けたいところです…
新しい学びの中で「覚える力」が持つ意義
社会に出ると、純粋な記憶力が問われるシーンはそれほど多くはないと思います。急速な発達を続けるデジタルツールは、様々な情報処理に加えて「記憶」も代行してくれます。膨大なデータを保持する能力は言うに及ばず、AIはそれらを用いた予測や推量の力も得ました。となると、覚えることはすべて機械に任せて、人はクリエイティブな知的活動にエネルギーを使いましょうという話になりそうですが、ことはそう簡単ではありません。…
ノートにメモを取らせる指導(記事まとめ)
授業中にメモを取る力は、深く確かな学びに欠かせないものであり、学びに関わる姿勢と方策の表れでもあります。他者の話を聴きながら(あるいは文章を読みながら)、自らしっかり考え、その痕跡を文字に残していくというのが学びの場におけるメモのあり方ではないでしょうか。ある実験では、同じ講義を聞かせた場合に生徒がノートに残した文字数とそれぞれの生徒の学習効果との間には、統計的に有意な相関が見られました。板書を写…
記憶は思考(理解や予測)の大事な道具
インターネット上には膨大な情報があり、それを学習した生成AIは、どんな問いにも瞬時に答え(正解とは限りませんが、少なくとも確率的に最も妥当な[尤もらしい]語の連鎖)を提示してくれます。もはや、ググって表示された結果を見比べる手間すら不要になってきました。こういう状況になると、「物事をいちいち覚えておく必要があるのか」という疑問も生じます。そもそも、日々新たな情報と知が生み出されるスピードは、人が学…
夏期休業等のお知らせ
終盤まで伸び足を止めないために
模擬試験の成績や授業評価アンケートのデータを見ていると、2年生のときの大きな低下(あるいは停滞)を3年生の前半で大きく巻き返したと思ったのに、夏を越えて受験期を迎えた途端にパタッと伸び足が止まってしまうことがあります。(cf. 年度の後半で授業評価が下がる?)そうした問題が顕在化してからの対処では、十分な効果が得られないことも多く、有効な予防策が打てるかが問われるところです。また、夏を過ぎてからの…
自由研究/課題研究は狙い通りの成果を得たか?
夏休みが始まって間もないのに「何、このタイトル?」と思われたかもしれませんが、タイトルの問いは、先生方がお盆過ぎに思い浮かべたのでは遅すぎかも。与えた課題の効果を測定するには準備も必要。当然ながら時間もかかるので、今のうちにスタートした方が良さそうです。夏休み中に取り組ませるタスク(宿題)は既に提示しているはず。履行にかかる時間を生徒に投じさせる以上、所期の成果が得られたかどうかは、タスクを与えた…
2学期の指導をより実り多きものにするために
秋は「実りの季節」ですが、9月に始まる学校の2学期もまた、生徒が様々なことにチャレンジする中でこれまでに重ねてきたことを「結実」させる大切な局面であるのは言うまでもありません。3年生は進路希望の実現に挑み、2年生は進路選択という大きな分岐に臨みます。1年生も4月の入学から高校生として積み重ねてきたものを振り返り、これからの自分の行動にしっかり方向を持てるかどうかで、残り2年半の実りが大きく変わって…
夏休みの過ごさせ方を振り返って、来期の指導設計
別稿「自由研究/課題研究は狙い通りの成果を得たか?」では、長期の休みに課される自由研究、課題研究について考えてみました。各教科で課した宿題・課題も、所期の成果が得られたか2学期の初めにはきちんと検証をしたいもの。夏休みに開設した講習・補習も同様です。夏の間に行った指導や取り組ませた課題の成果を確かめないことには、2学期からの指導の起点を正しく定めることもできませんし、来年度の指導計画を「今年の課題…
アイデアを作らせる~きちんと調べ、思考を拡充・整理
総合的な探究の時間において、生徒に研究テーマを考えさせるところでご苦労を抱えておられる先生方も少なくありません。地域連携や新しいビジネスなどの考案に取り組ませて自らの進路と向き合わせる教育活動でも、アイデアを出させるフェイズでのご苦労が多いようです。進路指導もまた、自分の将来を対象として行う探究活動であり、その探究の成果が「志望理由書」や「学修計画書」といった形で、大学進学に際して合否判定の材料と…





