月: 2024年12月

年末・年始の業務について(ご挨拶)

平素より格別のご高配を賜り、誠に有難うございます。 早いもので師走も押し迫り、今年も残すところ6日となりました。先生方におかれましては、ご多用の師走だったかと拝察いたします。 年末年始のお休みはどうぞごゆっくりとお過ごしください。さて、当オフィスでは以下の通り、年末年始の営業をお休みさせていただきます。新年の営業開始は1月6日(月)です。 年末年始休業:12月28日(土)より1月5日(日)まで な…

教材としての好適性~「問い」の性能評価

どんな問いを授業の軸にするかで生徒が学べるものは異なり、問いの周辺にどんな学習活動を配列するか(=授業をデザインするか)で、獲得できる能力や資質も違ったものになるのは、別稿でも書いた通りです。 別の見方をすれば、様々な問いの一つひとつには、授業デザインの軸にどこまでなり得るものか、資質のようなものがあるということです。その評価を授業者の「感覚」だけに依らずに、ある程度の根拠を持って行えるようになる…

目指すものを正しく共有~協働に向けた土壌づくり

学校評価アンケートの回答データを分析していると、先生方と生徒・保護者、あるいは先生方の間でも「学校が目指す方向」について根っこの捉え方が違っているのではないかと思えてならないことがあります。新時代を見据えて新たに特色ある教育活動を設けているのに、そこへの関心の度合いが三者で大きく違ったり、先生方の間でも分掌や学年などの立場によってコミットの度合いが一様でなかったりするようです。それぞれの立場で思い…

主体的に学ぶ姿勢は、アメやムチでは作れない

生徒が主体的/意欲的に学習に取り組むようになるのは「学ぶことへの自分の理由」(加えて「自立的に学べるだけの学習方策」)を獲得したときです。生徒を学びに向かわせるための手段として古くから多用されてきた、「頑張ったことへの褒美や賞賛(アメ)」や「サボったことへの罰や叱責(ムチ)」では、如上の成立要件のいずれも満たせません。 褒美をくれたり、褒めてくれたりする人や、叱ってくれる人がいなくなった途端に、学…

学ぶことへの自分の理由と負荷への耐性

教材や課題の難易度には、学力の伸びを最大化する「適正範囲」がありますが、生徒が「その科目を学ぶことへの自分の理由」を持っているかどうかで、適正範囲そのものが変化します。本稿でご報告するのは、授業評価アンケートにおける以下の3つの質問への回答を組み合わせて解析してみた結果です。 本稿を初めて投稿したとき(2018年1月=新課程への移行前)よりもデータの蓄積が進み、且つ、各校で「新課程の下での学ばせ方…

活動性が苦手意識を抑制する機能とその限界

以前の記事でも書いた通り、授業や課題の難易度をある程度まで引き上げたとしても、「活動性」を十分に高めておけば苦手意識の発生を抑える/遅らせることができます。教え合い・学び合いが知識や理解の不足を補うことが、課題解決の可能性を高めるのは想像に難くありません。しかしながら、その機能にも限界があります。学習者にはそれぞれが備える「負荷耐性」があり、それを超えた負荷をかけると、生徒同士で知識・理解・発想な…

知識の活用、学びの仕上げ

1 課題解決を軸にした授業デザイン 1.1 教室でしかできない学びを充実~問いを軸に授業を設計 ★1.2 考えるための道具(体系的知識)を揃えさせるときの手順1.3 課題解決を伴わない知識獲得は…[検証編/考察編] ・習ったことを使ってみる機会1.4 課題解決の場を整えたら、挑ませる前に理解の確認 ★1.5 確認した結果に基づいてきちんと学びを仕上げさせる ★1.6 単元ごとに設定するターゲット設…

対話的な学びにおける”第4の相手”

対話は、課題を前に発動した思考を、他者との気づきの交換で拡張するための活動であるのは言うまでもありませんが、その相手は「共に学ぶ周囲の生徒」に限らないのは、「自力で学ぶ力を育むのに重要な、最初に選ぶ”対話の相手”」などの別稿でも既に申し上げてきた通りです。学びにおける対話と言えば、周囲の仲間(生徒)との間に行われるもの以外に、教科書や資料を読むことによる文字を介した先人との対話や、先生との問答や発…

探究型学習(課題研究等)の成果をどう測るか

課題研究などの探究型学習に限ったことではありませんが、何かに取り組ませたら、その成果と過程(取り組み)をきちんと評価をする必要があるのは言うまでもありません。できるようになったことを「たな卸し」することで生徒に自らの成長を自覚させるとともに、これまでの取り組みに足りなかったものに気づかせ、「この先、何にどう取り組むべきか」を考えさせること(=進捗と改善課題を捉えた学びの実現)が評価を行うことの第一…

答えを仕上げる中で学びは深まる

授業を通して学力の向上や自分の進歩を実感できることで、生徒はその科目を学びつづける意欲を維持・向上することができますが、その実感をもたらすのは「習ったことを使って課題を解決できた体験」です。課題を与え、知識や理解を活用する場面を整えることが重要なのは言うまでもありませんが、とりあえず答えが出せたところで立ち止まらせては深く確かな学びは生まれません。答えを仕上げてこその学びです。問いを軸に授業を設計…

確認した結果に基づいてきちんと学びを仕上げさせる

授業では、教えたこと/学ばせたことの確認を様々な場面で行っているはずですが、現時点での理解や進歩の度合いを確かめるところを終点にしては、理解や習熟に不足が残る生徒をそのままにしてしまいます。十分な理解が形成されたか、習熟に不足はないかを確認するのは、確認した結果を踏まえて「仕上げ」に向かわせるためです。確認後に仕上げの工程を伴わないのでは、確認の意味は半減し、下手をすると「できなかった」ことを生徒…

理解を確認した後のフォローに不要な時間を取られない

授業ごとに/単元ごとにターゲットとなる問いや課題を設定するのは、教室での対面で行う学習活動と、それ以外の場で獲得させるものを切り分けることで限られた授業時間を効率良く活かすための方策の一つになるのは、別稿で申し上げた通りです。そうしてデザインした授業をワンステップずつ確実に進めて行くには、前稿のように、ターゲット設問を分割した小さな問いで要所ごとにそこまでの理解を確認していく必要があります。 20…