月: 2024年9月

5教科7科目に挑ませることの意味

国立大を「一般選抜」で志す受験生は、原則として5教科7科目(25年からは「情報」が加わって6教科8科目)を勉強しなければなりませんが、それ以外の生徒(大学に進学しない生徒も含めて)にも出来るだけ多くの科目を最後までしっかり勉強してもらいたいと考えます。進路希望実現のための要件を満たすだけなら、必要最小限の科目に絞って勉強する方が「得点力向上のコストパフォーマンス」は高くなるかもしれませんが、ことは…

明日と明後日、ブログをお休みします

当ブログをお読みいただき有難うございます。本日と明日(26日、27日)、ブログの更新をお休みいたします。お知らせが遅れ、申し訳ありません。休止中も、ブログの記事やホームページはいつも通りにご利用をいただけます。更新の再開は、週明けの月曜日を予定しております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。寒暖差が大きくなっておりますので、くれぐれもご自愛ください。 教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

イノベーションをもたらす認知の網と偶然との出会い

新しく見聞きしたことを理解したり、そこに問題を発見したりするのは、もともと持っていた知識と新たな情報が接点を持ったということ。新たな情報が放り込まれたところの周辺に、既に蓄えられていた知識が待ち受けていないと、情報は接点を得ることなく素通りしていきます。既に知っていること/理解していることは、新しい情報を拾い上げるための「認知の網」として機能します。学びや体験の欠如で「網」が張られていない/穴が開…

改めて考えてみる「問いを立てる」ということ

このブログでもたびたび「問いを立てる」という言葉を使ってきましたが、改めてその意味するところを考えてみたいと思います。単純に「なんだろう」「どうなっているのだろう」と疑問や興味を持つ段階から、「疑問の正体を特定し、共有可能な表現でその本質を表現する」という過程を経てようやく「問いを立てる/起こす」に至ります。目の前の事物を注意深く観察したり、資料などを注意深く読んだりしないと、起点の「なんだろう」…

特色ある教育プログラムへの生徒の取り組み状況は?

年度の後半に入りますが、「特色ある教育活動」に対し、この春に入学した生徒は十分な熱意を持って取り組んでくれているでしょうか。意図するところを正しく理解しているか、きちんと取り組めているか、所期の成果が上がりつつあるかなど、この機に点検しておきましょう。もし、これらの観点でどこかに不足があるようなら、必要な補完を遅滞なく講じていかなければならないのは言うまでもないところ。指導の成果が着実に積みあがら…

特色ある教育プログラムに対する意欲と興味の維持

各地の学校で、意欲的な教育プログラムが創り上げられ、特色ある教育活動が行われています。現地をお訪ねし成果発表会を参観したり、指導の様子を拝見させていただいたりする中で、生徒の皆さんの熱心な取り組みや指導に当たる先生方の熱意と工夫に、こちらがワクワクを感じることがしばしばです。しかしながら、じっくり観察してみると、入学間もない1年生や2年生の一様な熱心さに比べて、3年、4年(高1)と学年が進むうちに…

学校評価、学校広報

1 学校評価アンケートをどう活用するか 1.0 学校評価アンケートをどう活用するか(序)1.1 意図は伝わっているか、成果はあがっているか1.2 より良く知ってもらい理解と共感を得るために1.3 効果を確かめ、教育リソースの最適配分を実現する1.4 学校改革・教育改善を進めるときの羅針盤として1.5 教育目標や指導方針をちゃんと伝える ★1.6 学校評価結果の十分な活用のための実施スケジュール ★…

教育内容の充実を伝えるにはエビデンスを

どの学校も、建学の精神や教育理念を時代の変化に合わせて再解釈しながら、新たなチャレンジを重ねています。何を目指して、どう取り組むかを伝え、「理解と共感」を得て学校を「選択」してもらうには、 という2つの要件を満たすことが不可欠です。日々の教育活動を推し進めるに当たり、ゴールの確認(見失わないこと)と、日々の進捗と改善課題を常に捉える現況把握/効果測定を怠らないようにしましょう。 2018/05/1…

学校評価アンケート~質問設計を通して校是の共有

学校評価アンケートは、主だった学校行事が終わる年度後半での実施が普通ですが、どんな評価項目を立て、どんな質問文で訊くかはできるだけ早い時期に検討を進め、教職員への周知を図るべきです。生徒や保護者にYESと答えてもらいたい質問文は、学校が教育活動を通して実現を図るべきことがらに外ならず、質問設計を通した「目指すべき到達状態」の確認と共有は、目線のあった指導を容易にします。いざ、学校評価アンケートを行…

満たせるところに期待を集める~良好な関係作りのために

様々なところで「学校と生徒・保護者の関係が変化してきている」と言われ始めたのはずいぶん昔のこと。生徒や保護者からの要求(≒学校への期待)は、多様で、かつてより強いものになっていると感じます。こうした「膨らみ続ける要求や期待」に学校がどこまでも応えきるのは現実的には不可能。生徒・保護者からの要求とその出処である「学校への期待」の所在を上手くコントロールしないと、本来学校が果たすべき役割を遂行するの難…

自ら学ぶ力を獲得させるために~観察と評価

日々のご指導において、知識や技能、思考力、判断力、表現力を鍛え、獲得させるための「指導と評価」に抜かりはないところと拝察いたしますが、その一方で「学びに向かう力」については如何でしょうか。学びに向かう力を育み、主体的に学習に取り組む態度を評価することの目的は「生徒を学習者として自立させる」ことにほかなりません。卒業後も学び続け、より良く生きるのに必要な知識をアップデートし、それらを正しく生きて働か…

生徒による授業評価

1 授業評価アンケートで尋ねるべきこと(質問設計) 1.1 授業評価アンケートで尋ねるべきこと(質問設計) ・講義・座学系の授業評価項目・質問文 Updated! ・実習・実技系の授業評価項目・質問文 Updated! ・授業以外について尋ねておくべき生徒の意識 Updated! ・授業評価アンケートの質問設計~まとめと追記1.2 授業評価アンケートを行うときの最小要件(質問と集計)1.3 主体的…

授業評価の結果から(記事まとめ)

本年度も多くの学校から授業評価アンケートのご用命をいただきましたことに、この場を借りて、改めて心より御礼を申し上げたく存じます。1学期末に行ったアンケートのデータも揃い、解析を進めております。学習の主体たる生徒の皆さんが寄せてくれた回答は、きちんと整理して解析をすると実に様々なことを教えてくれ、実際に見た教室での風景と照らし合わせることで、授業改善に利用できる知見が得られます。以下は、各地の学校で…

既習内容の確認は、問い掛けで

新しい単元を学ばせるときには、関連する既習内容をきちんと理解しているか/覚えているかを確かめないと、どこまでを前提に学びを始めさせれば良いか見極めることができません。土台ができていないところに建材を組んでも上手くいくわけがありません。確かめるには、「問い掛けて生徒のアタマにあるものを言葉にさせる」のが最も効果的。もし、わからないこと/思い出せないことがあったとしても、以前に学んだときのノートや教科…

知識活用の機会を生徒が認識できないとき

以前の記事では、授業内外に「理解して覚えたことを課題解決に用いる場面を設けることが、学習目標の理解や学習を通じた成果(学力向上や自分の進歩の実感)を確かなものにする上、授業内活動を高めて対話的で主体的な深い学びの実現に近づく可能性をデータで示しました。しかしながら、理解したことを用いて解決する課題が授業内外に整えられているのに、生徒の側でそれを「知識活用の機会」として認識していないというケースが稀…

AIの時代だからこそ「問いを立てる力」

AIは、以前から身近なところでも活用されており、生活を便利にしてくれていますが、知的作業の道具(相棒?)としての存在感を強めたのは、ChatGPTの登場(2022年11月)を機にでしょう。以来、学習の場でも、生徒や学生が物事を調べたり、考えたりするのに使って当然、なくてはならない道具としての立場を手に入れました。こうした技術の進歩と道具の変化の中で、生徒や学生(に限らず、社会人も含むあらゆる立場の…